2022年4月3日
〔ヨハネの黙示録連続講解説教〕
第78回「ヨハネの黙示録11章3~4節」
(17/3/19)(その2)
(承前)
その前にわたしたちは、この11章3節~13節の出来事が、いつのことなのか、
過去のことなのか、現在のことなのか、未来のことなのか、特定をしなくては
なりません。
過去、預言者ゼカリヤの時代、バビロン捕囚によって滅びてしまったエルサ
レム神殿について、預言者ゼカリヤは、神殿の再建の幻を見、その際、二人の
証人が預言することを預言しました。
その際、ゼカリヤは、ゼカリヤ書4章によれば、金の燭台と、その右左にあ
る二本のオリーブの木を、幻の中にて、見ました。それは、大祭司ヨシュアと、
(王)ゼルバベルであって、この二人が新しい神殿建設に向けて、神の言葉を
人々に伝えたのです。
次に、見者ヨハネの時代にあっての現在ですが、地上においては、ヘロデの
手による、壮大なエルサレム神殿が造られていました。しかし、イエスは、そ
の神殿が、滅び去ることを預言され、(マルコによる福音書13:1~2など)
そしてそれは事実AD70年のユダヤ戦争でそのとおりになり、御自身の身体が
神殿である、天の神殿の建設を予告されました(ヨハネ13:21など)。この天の
神殿は、見者ヨハネの現在、天にあります。そして、そこでは、既に、キリス
トの贖いに与った教会が、礼拝を献げているのです。
この天の神殿の建設にあたって、証人となったのが、モーセとエリヤであり
(マルコによる福音書9:2以下など)、このイエスの神殿こそ、預言者と律
法の成就であることを証言したのです。
そして未来ですが、この天の神殿も、終末の時選り分けられて、本当に残る
ものが選別されようとしています。それは、先取りすると、21章の「新しいエ
ルサレム」の降下というかたちで成就するのですが、ここでの二人の証人は、
その新しいエルサレム建設に際しての証人なのです。(小さな)巻物の内部に、
その預言活動のことが記されていたのです。
しかし、「これからのこと」であるので、詳細は詰められていません。そし
て、前二回の「新しい」神殿建設の際の預言活動の記録(の表現)がそのまま用
いられています。それゆえ時制が、未来のことなのに、現在形だったり、アオ
リスト(過去完了形)であったりして、読む者は、戸惑います。しかし、これ
は、「終末を控えての、未来の出来事である」ということをしっかりと踏まえ
て、私たちは読んでまいりましょう。
だとすると、この二人の証人ないしは、預言者は、現在天にある、「天のエ
ルサレム」「天の神殿」で活動することとなります。
その詳細は、これから触れることとなりますが、天の神殿でも殉教が起こり、
そして天のエルサレムでも「異邦人」による蹂躙が行なわれることとなるので
す。これはわたしたちの常識を超えた驚くべきことですが、終わりに近づけば
近づくほど、神の敵対勢力の力は強まり、その力は天にまで及ぶのです。そし
て、教会の中でも、贖われた者の中でも、救いから漏れてしまう者が出るので
す。
しかし、神はそのことを、大いに心痛めて、心配しておられ、預言者には異
例の、悔い改めのしるしである「粗布」をまとわせ、ゼカリヤ書の預言活動に
おいては、オリーブ二本だけであったものを、燭台二本としての使命をも担わ
せ、イエスにより近い者として、この二人を遣わされます。
さて、それではこの二人は誰でしょうか。
それは、過去、そして現在活躍した人ではありえません。それは、終末の時を
担う「教会の預言者」です。無名の預言者かもしれません。あるいは、教会全
体が預言者としての使命を負わされているかもしれません。
しかし、そのうち一人は、「見者ヨハネ」ではないか、と私は思うのですが、
いかがでしょうか。
(この項、完)
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