2022年1月16日
〔ヨハネの黙示録連続講解説教〕
第73回「ヨハネの黙示録10章8節」
(17/2/12)(その1)
8節「すると、天から聞こえたあの声が、再び私に語りかけて、こう言った。
『さあ行って、海と地の上に立っている天使の手にある、開かれた巻物を受け
取れ。』」
第六の天使のラッパの後始まった、あのひどい災いの後、力強い天使、これ
はまともな天使ですが、が天から降りて来て、これからのことを誓って宣言し
ました。今日のところはその続きですので、その誓いの内容から振り返ってお
きましょう。
6b〜7「もはや時がない。第7の天使がラッパを吹くとき、神の秘められた
計画が成就する。それは、神が御自分の僕である預言者たちに良い知らせとし
て告げられたとおりである。」でした。
まず「時がない」と言うことでした。この時は、原語では「クロノス」です
ので、もうすでにストップウォッチが押された、と言う意味です。
いつまでのストップウォッチなのでしょうか。一見、第七の天使がラッパを
吹いて、第七の、最後の災いが始まるまで、と受け取られるかもしれません。
が、そうではありません。原文には、「第7の天使がラッパを吹くとき」で
はなく、「第七の天使がラッパを吹こうとする日々に」と書かれているのです。
第七の天使がラッパを構えて、実際に吹き始めて、吹き終わるまで、凄く時
間がかかるのです。その間に第七の災いは延々と続くでしょうが、その間のこ
となのです。
そして、そのラッパの音の終了を持って、第七の災いは終了し、そして、
「神の秘められた計画が成就する。」のです。
よって、「神の秘められた計画」とは、「災い」ではありません。それで、
「神が御自分の僕である預言者たちに良い知らせとして告げられた(計画)」
と、言い換えられているのです。
よって、「力強い天使の誓い(宣言)」は、災いの終了と救いの到来の告知
だったのです。
しかし、第七の災いは、良くその間天使がラッパを吹き続けていられなあ、
と思うくらい、長い、そしてしつこいものです。それに入る前に、この災害を
受ける人に、神の言葉を伝えることを使命として受け取った人、見者ヨハネ自
身もそうですが、は特別の覚悟を持って臨まねばなりません。
今日は、その「出陣式」の場面です。
8節「すると、天から聞こえたあの声が、再び私に語りかけて、こう言った。
『さあ行って、海と地の上に立っている天使の手にある、開かれた巻物を受け
取れ。』」
まず最初に、この場面は、旧約聖書において、記されている預言者の召命の
場面と全く同じであることを確認する必要があります。預言者イザヤにおいて
も(イザヤ6:8)、エレミヤにおいても(エレミヤ1:4)、神の声が彼らを
呼び出しました。見者ヨハネも神の声に呼び出されました。しかし、見者ヨハ
ネの召命については、預言者エゼキエルの場合に最もよく似ています。
なぜ、似ているか。
イザヤもエレミヤもそれぞれの時代状況に応じて悔い改めるように、との厳し
い預言をいたしました。イザヤは、シリア・エフライム戦争に際し、アッシリ
アにくっついて北王国滅亡に力を貸してしまったアハズ王を責めます。エレミ
ヤもバビロニアの脅威に対して、エジプトに頼ることをやめバビロニアに降伏
すべきことを言い、どちらも、その預言は受け入れられず、預言者自身厳しい
状況に置かれます。
しかし、この二人の時代には、エルサレムは滅びにまでは至りませんでした。
しかし、エゼキエルが預言者として召されたとき、既にエルサレムは滅んでお
りました。現実の世界での回復はないのです。そこで、預言は、現実世界を超
えた幻として語られるしかない。それが「巻物を飲む」という象徴行為だった
のです。旧約の預言者では、エゼキエルだけが巻物を飲んでいるのです。
と言うことで、見者ヨハネも、預言者としての召命を受けるのは、やっとこ
こで、なのですが、もうすでに世界は滅びの過程の中に入っていてしまってい
ますので、その預言内容は、巻物として、すなわち幻として示されていること
が確認されるのです。
それで、その預言の内容は、幻としての預言の内容は何なのか、が非常に気
になるところですが、それについては、次回以降に触れることといたしましょう。
(この項、続く)
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