2022年1月2日

〔ヨハネの黙示録連続講解説教〕

第72回「ヨハネの黙示録10章5〜7節」
(17/2/5)(その1)

5〜7節「すると、海と地の上に立つのをわたしが見たあの天使が、右手を天
に上げ、世々限りなく生きておられる方にかけて誓った。すなわち、天とその
中にあるもの、地とその中にあるもの、海とその中にあるものを創造された方
にかけてこう誓った。「もはや時がない。第7の天使がラッパを吹くとき、神
の秘められた計画が成就する。それは、神が御自分の僕である預言者たちに良
い知らせとして告げられたとおりである。」

 先週の続きです。
第六の天使がラッパを吹くことによって始まった災い、実質的には第二の災い
は、もともとは、殉教者の怨念(を晴らす)ことから始まった災いでした。し
かし、結果したことは、人類の3分の1の死と、二億に及ぶ馬と騎乗者の屍で
した。
 しかも、この有様を目の当たりにした人類の残り3分のには、悔い改めるど
ころか、ますます偶像礼拝に走ることとなりました。
 そして、第二の災いのもたらした、この結果に、天国にいらっしゃる方々も、
躊躇されたのではないでしょうか。このまま、最後の最後まで突っ走るか、そ
れとも、ここで立ち止まるのか、です。それが、第7の、最後の天使がラッパを
吹く前の、10章1節から11章15節までの幕間劇です。
 幕間劇は「もう一人の力強い天使」登場から始まります。
この天使がはたしてまともな天使なのか、あるいは、はたまた堕天使なのか、
気になるところなのですが、後の記述から、まともな天使、しかも「大天使」
とも言える人物であることが明らかとなります。
 その人物が、「右足で海を、左足で地を」踏まえ、すなわち全世界に向かって、
「獅子がほえるような大声で叫んだ」と言うのですから、重大な宣言をしたの
です。何の宣言をしたのでしょうか。それは、この場面においては、「このま
ま裁きの業を継続するのか、どうか」でしょう。
 ところが、それが明らかにされる前に、「7つの雷」が声を上げたのです。
それは、天使たちの天上での「喧々諤々」の議論の様子を再現しているのでは
ないでしょうか。何を議論しているのか。それはもちろん、このまま裁きを継
続するのか、それとも一旦中断するのか、と言う議論です。「7つの雷がそれ
ぞれの声で語った」ということは、天使たちの間でも議論が分かれた、と言う
ことを表わしているのではないでしょうか。
 天においても、世界や人間の運命について、慎重な議論がなされていた、と
言うことです。
 そのとき「天からの声」、それは明らかにキリストないしは神の声ですが、
「7つの雷が語ったことは秘めておけ。それを書き留めてはいけない」とのこ
と。つまり、天上の会議の議論はともかく、一つの意志が決定された、それを
これから力強い天使が明らかにするので、「良く聞け」と言う訳です。
 今日はそこから始まります。

5〜6a節「すると、海と地の上に立つのをわたしが見たあの天使が、右手を天
に上げ、世々限りなく生きておられる方にかけて誓った。すなわち、天とその
中にあるもの、地とその中にあるもの、海とその中にあるものを創造された方
にかけてこう誓った。」

 天使の誓い、と言うのは不思議ですが、ダニエルの時、すでに示されていま
した。ダニエルの時代にもすでに堕天使がいたからでしょう。ダニエル書12:7
によれば、その天使は両手を上げ、「永遠に生きるお方によって」誓いました。
 ここ、黙示録10:6では、「右手を天に上げ」「世々限りなく生きておられ
る方にかけて」「天とその中にあるもの、地とその中にあるもの、海とその中
にあるものを創造された方にかけて」誓った、とされています。
 「右手」か「両手」か、ということについては、「右手」だけの方が「両手」
よりも軽く見えますが、これについては、ダニエル書の本文が受け継がれてい
く過程で、「両手」という伝承と「右手」と言う伝承とがあり、黙示録の著者
が、「右手」と言う伝承を受け止めた、と考えられます。
 しかし、「永遠に生きるお方によって」が「世々限りなく生きておられる方
にかけて」に変わっことは、明らかにより丁寧になったことです。更に「天と
その中にあるもの、地とその中にあるもの、海とその中にあるものを創造され
た方にかけて」が付け加えられた、ということは、時間論に加えて、創造論的
な証拠も付け加えられた、と言うことです。

(この項、続く)



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