2021年11月21日

〔ヨハネの黙示録連続講解説教〕

第69回「ヨハネの黙示録9章16〜19節」
(17/1/15)(その1)

16〜19節「その騎兵の数は二億、私はその数を聞いた。わたしは幻の中で馬と
それに乗っている者たちを見たが、その様子はこうであった。彼らは、炎、紫、
および硫黄の色の胸当てを着けており、馬の頭は獅子の頭のようで、口からは
火と煙と硫黄とを吐いていた。その口から吐く火と煙と硫黄、この三つの災い
で人間の三分の一が殺された。馬の力は口と尾にあって、尾は蛇に似て頭があ
り、この頭で害を加えるのである。」

 第五の天使のラッパのところは省略して、第六の天使のところから振り返り
ましょう。
 まず、第二の災いは、「神の御前にある金の祭壇の四本の角から一つの声」
から始まりました。この「声」とは何でしょうか。
 祭壇の角については、黙示録では初出ですが、出エジプト記30:1以下にあ
るとおり、イスラエルにおいては、祭壇の四隅に角がつけられ、そこに贖罪の
献げものの血が塗られ(その血の塗り方については、レビ記4章に詳しく記さ
れていますが)ていました。
 そして、そこには、殉教者の血が振り注がれていました。ですから、「神の
御前にある金の祭壇の四本の角から一つの声」とは、殉教者の「恨めしい、恨
めしい、早く復讐を」との声だったのです。
 この声に対して、第五の封印開封の時には、「殉教者の数が満ちるまで、な
お待つように」との指示がありましたが、今や、その殉教者の声を聞く時が来
た、のです。
 よって、この第二の災厄は、まず、殉教者の「怨念」の実現として行われる
こととなりました。
 しかし、そのために使われた、ないしは仕えたのは、「大きな川、ユーフラ
テスのほとりにつながれている四人の天使」でした。ユーフラテス川は、創世
記15:18にあるごとく、「約束の地」の東の果てで、ローマ時代にも、そこか
ら侵入者が侵入しています。が、そこに4人の天使がつながれている。
 本日も触れますが、終末の時、神が国境を越えて、軍隊を差し向ける、とい
う考え方もあり、国境で、『懲罰の天使』が待機している、という考え方はあ
りました。
 問題は、この天使が「まともな天使」なのか、あるいは「堕天使」なのか、
というところです。
 先週は、それが堕天使である、という前提で、話を進めてまいりましたが、
本日は、この四人の天使が差し向けたであろう軍隊の有様を学びつつ、この四
人の天使について、もう一度考察してまいりましょう。
 そもそも神が「良し」としてお造りになられたこの世界に、なぜ悪が存在す
るのか、しかも悪霊とも言える悪魔的なものがなぜ存在するのか、それは、
「堕天使」による、というのが、旧約聖書、新約聖書、ユダヤ教、そしてキリ
スト教を通しての一貫した考え方です。
 堕天使の第一号と言うよりは、始まりは、サタンです。サタンは、ヨブ記の
第1章の物語にはっきりと述べられているように、もともとは、天使の一人で
した。ただ、その名称(「サタン」とは「対立者」の意)からすると、単なる
「役割(告発者)」を表わす言葉だったのです。が、単なる「告発者」である
に止まらず、この世に悪を引き起こす元凶となって行くのです。これが「堕天
使」第一号です。
 この後、さまざまな罪を犯して、天を追放された天使たちが、サタンの手先
として「堕天使」軍団を形成することとなりました。その罪とは、サタンの場
合には、高慢の罪だ、とする説が通説だったようですが、天使もあらゆる罪を
犯すと考える教父もいました。こうして形成された堕天使軍団、Tエノク書に
よれば、200人とのことですが、その後も天使は落ち続け、15世紀のアルフォン
ソ・デ・スピナという人物によれば、全天使の3分の1に上り、1億3330万6668
人いる、とのことです。
 天使の場合は、罪を犯すと言っても、そもそも霊的存在者ですから、非常に
タチの悪いこととなるのです。(「相棒」の水谷豊さんでもなければ対抗でき
ません。)
 そこで、次に、「この四人の天使が差し向けたであろう軍隊」の有様につい
て、確認いたしましょう。

(この項、続く)



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