2021年8月15日

〔ヨハネの黙示録連続講解説教〕

第62回「ヨハネの黙示録8章6〜7節」
(16/11/20)(その1)

6〜7節「さて、七つのラッパを持っている七人の天使たちが、ラッパを吹く
用意をした。第一の天使がラッパを吹いた。すると、血の混じった雹と火とが
生じ、地上に投げ入れられた。地上の三分の一が焼け、木々の三分の一が焼け、
すべての青草も焼けてしまった。」

 いつものように、振り返りと、本日のストーリーの概要とを述べる所から始
めてまいりたいのですが、
 第七の封印の開封がなされ、七人の天使にそれぞれラッパが渡され、その
ラッパの演奏と共に、いよいよ災いが始まる、という場面です。
 が、その第一のラッパの演奏の前に、半時間ほどの「沈黙(スィゲー)」が
ありました。不気味な沈黙ですが、これはやはり、どう考えても、いよいよ、
神の復讐が始まる、というその事態において、天におるものが一瞬息を止めた、
その「シイー」「シイー」である、と考えられます。いよいよ待ったなしに、
「終わりの時」が始まってしまうのです。
 さらに、ラッパの演奏の前に、一人の天使がすっくと祭壇の上に立ちました。
一人の天使が祭壇の上に、金の香炉を持って仁王立ちになったのです。それと
同時にではなく、その前に、であると思われますが、この天使にはたくさんの
「香」、これは「ぶら下げ香炉」のことです。が渡されます。
 天使は、その「ぶら下げ香炉」に香をたきます。そこに、「すべての聖なる
者たちの祈り(復讐の怨念)」を込めて、です。
 その怨念の込められた香の煙が、祭壇の上に起ち上っているところへ、実は
そこへ「一人の天使が…金の香炉を持って仁王立ちになった」のです。
 そこで、その天使は、その金の香炉に、殉教者の怨念がたっぷりこめられた
香をしみこませた「火」でもって火をつけ、それを、「えいやー」と地上に、
そこは、殉教者たちを苦しめた者がいる所です。投げつけたのです。「これで
も喰らえ」と言う訳です。
 こうして、本当の本当の世の終わりの終末の災いが始まったのです。
その災いの内容は、8節によれば、「雷、さまざまな音、稲妻、地震でした。
そして、これらの自然災害が、4人の天使が順に吹くラッパの音と共に下され
る、と言うのが、8節から13節の内容です。
 しかしながら、それらの自然災害は、まだ、地上、世界全体を滅ぼすに至る
ものではありませんでした。神は何と寛容なのでしょうか。
 そのことを、つまり神が最後の最後に至るまで、寛容である、ということ、
すなわち悔い改めをも待っておられる、ということを、「第一のラッパ吹き」、
そしてそれと共に起こった「第一の自然災害」から見てまいりましょう。

6節「さて、七つのラッパを持っている七人の天使たちが、ラッパを吹く用意
をした。」

 7人の天使が、一斉に、ではありませんが、ラッパを吹く用意をしました。
いよいよ、世の終わりの滅びが始まる、ということです。
 ここで考えられているラッパがどのようなラッパであるのか、私たちには、
十分に想像することはできません。
 しかし、ラッパは、旧約聖書では「角笛」として登場します。この角笛は、
エリコ陥落や、ギデオンの物語で有名なように、何よりも戦いの合図です。日
本のほら貝です。
で、それは、神が、ヤーウェが顕現する場面でも登場しまして、モーセや民は
シナイ山で、角笛の音と共に神に出会います。(19:16)
 それで、いわゆる「聖戦思想」においては、「角笛」の音と共に、神が「敵
を倒してくださる、」という信仰に至るわけです。
 終末、終わりの時、とは何か、と言えば、それは、神が、神に敵対するこの
世の勢力に対して最終決戦を挑まれることですから、「角笛」のちには「ラッパ」
の音は、神が「敵対勢力」に滅びをもたらす合図、ということになるのです。
 それでは、「第一のラッパ」の音と共に、どのような滅びがもたらされたの
でしょうか。

(この項、続く)



(C)2001-2021 MIYAKE, Nobuyuki & Motosumiyoshi Church All rights reserved.