2021年7月4日

〔ヨハネの黙示録連続講解説教〕

第59回「ヨハネの黙示録7章13〜17節」
(16/10/9)(その1)

13〜17節「すると、長老の一人がわたしに問いかけた。「この白い衣を着た者
たちは、だれか。また、どこから来たのか。」そこで、わたしが、「わたしの
主よ、それはあなたがご存知です。」と答えると、長老はまた、わたしに言った。
『彼らは大きな苦難を通って来た者で、その衣を小羊の血で洗って白くしたの
である。それゆえ、彼らは神の玉座の前にいて、昼も夜もその神殿で神に仕え
る。玉座に座っておられる方が、この者たちの上に幕屋を張る。彼らはもはや
飢えることも渇くこともなく、太陽も、どのような暑さも、彼らを襲うことは
ない。玉座の中央におられる小羊が彼らの牧者となり、命の水の泉へ導き、神
が彼らの目から涙をことごとくぬぐわれるからである。』」

 必要上、そもそも殉教者が現れた時点から振り返っておきたい、と思います。
第五の封印の開封と共に、殉教者が現れました。
天の祭壇の下には、殉教者の血がうじゃうじゃ漂っていて、その中に殉教者の
魂(「プシュケー」)が目玉のごとくに飛び出しては、「恨めしい」「恨めしい」
と叫んでいたのです。
 しかし、贖いの主は彼らを受け入れ、白い衣を与えられました。血の海に見
え隠れする目玉に、どうやって白い衣を着せるのか、私たちには、想像がつき
ませんが、これは、そういう意味ではなく、復活の「身体」が与えられた、と
いうことです。先取りして与えられたのです。
 しかし一方、彼らの復讐の要求に対しては、「自分たちと同じように殺され
ようとしている兄弟であり、仲間の僕である者たちの数が満ちるまで、なお、
 しばらく待つように(6:11)」と告げられました。
そして、第六の封印の開封と共に、まだ、全封印の開封は終わっていないので
すけれど、つまり、終わりの終わりの時はまだなのですけれど、殉教者の大群
衆が現れたのです。
 この大群衆は、白い衣を着ていました。ということは、これからもまだ殉教
者が増える状況かもしれません。あるいは、あと一人で殉教者の数が満たされ
る状況かもしれません。しかし、いずれにせよ、かなり、「最後の審判」まで、
押し詰まった状況の中で、殉教者に対して救いが、先取りされた、のです。
 その救いとは何でしょうか。
それはまず第一には、(deliverance)、すなわち救出です。そして、殉教者に
とっての救出とは何か、と言えば、それは、殉教者が心から願っている復讐が
成し遂げられること、すなわち、迫害者がやっつけられること、です。神は、
しばしばその先取りを示しては下さいますが、この終わりの時に至って、完全
になさってくださったのです。
 そして、それは、同時に神の完全勝利でした。しかし、それは、「最後の審
判」の直前のことです。それまでは、「この世の勢力」の台頭の中で、苦しむ
人々が、「神は一体どこにおられるのか」と、嘆かざるを得ない状況であった
のです。
 それゆえ、この勝利は「最終的勝利」であったとともに、苦しむ者にとって
は、「初めての」「初めて体験する勝利」でさえありました。
 そこで、「本当の讃美」「賛美そのもの」が生じました。
そこで、天使たちも声を合わせての、「勝利の讃美」が生じたのです。
5:12における天使たちの讃美においては、『屠られたような小羊』の登場に
よる期待の讃美でしたが、この前、丁寧に説明しましたように、神の復讐の業
の完成と共に、初めて、「感謝」と言う言葉が挿入され、「感謝」そのものへ
と変えられたのです。
 さて、殉教者たちに対する救い(救出)と、神の勝利が示されると、そこで
初めて、殉教者たちに対する、偽物ではない、「慰め」が示されることとなり
ます。
 どのような慰めが与えられたのか、それについて、今日と次回と2回に亘って
触れていきたい、と思います。
 まず、ここで24人の長老が登場いたします。長老は、あくまでも天において
も天使の一人であって、玉座に座っておられる方に仕える、礼拝をもって臨む
者なのですが、しばしば神の代理をいたします。それゆえ、人はその天使を
「主」と呼ぶのです。たとえば、創世記19:2。ここは、ロトのもとに天使が
現れた場面、ロトは、天使たちを「主よ」とお呼びしました。新共同訳聖書で
は「皆様方」と訳してしまったので分からなくなってしまっていますが、原語
は「アドーナーイ」で、「主」の意、LXXも「キュリオス(複数なので正確
に言うと「キュリオイ」ですが)、そして協会訳も「わが主よ」と訳していま
す。見者ヨハネも長老の一人(一人とは言っても代表)を「主よ」と呼んでい
ますから、この長老の一人の言うことを「神(玉座に座っておられる方)の言葉」
として、受け止めた、ということです。

(この項、続く)



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