2021年5月23日

〔ヨハネの黙示録連続講解説教〕

第56回「ヨハネの黙示録7章1〜8節」
(16/9/11)(その1)

 封印の開封が進んでいます。
第一の封印から第四の封印の開封までは、四頭の馬がもたらす災厄でしたが、
皆警告と言えるものでした。
 そこで、第五の封印が開かれたとき、殉教者たちで「成仏」できずにいる者
たちの魂が、「真実で聖なる主よ、いつまで裁きを行わず、地に住む者にわた
したちの血の復讐をなさらないのですか。」とクレームをつけました。
 玉座に座っておられる方、神は、この要求に対して、「待て」と拒否されま
したが、しかし、一方では、これらの殉教者たちに、復活の身体のしるしであ
る「白い衣」を与えられ、永遠の命を先取りさせてくださいました。
 これ以降、封印が開封されるにしたがって、裁きとしての災厄がだんだんと
大きくなっていく、と同時に、救われる者には、その救いの保証がより確かな
ものにされていく、という過程をたどることとなります。
 案の定、第六の封印の開封によって引き起こされた災厄は、地球規模いや宇
宙規模のものでした。
 大地震がきっかけですが、それは単なる地震に止まらず、「太陽は毛の粗い
布地のように暗くなり、月は全体が血のようになって、天の星は地上に落ちた。
まるで、いちじくの青い実が、大風に揺さぶられて振り落とされるようだった。
天は巻物が巻き取られるように消え去り、山も島も、みなその場所から移され
た」、そういうものでした。
 現代人は、「そんなこと、起こりうるか!」と思いますが、これは、見者ヨ
ハネの時代の科学知識を総動員しまして、宇宙の秩序自体が覆される事態がお
こる、ということを言っているのです。
 たとえがお分かりにくかったかもしれませんが、近代科学の言葉で言えば、
慣性の法則、質量保存の法則、万有引力の法則自体が通用しない世界が来る、
ということです。
 こんなことが起こったら、大変ですよね。
ところが、「地上の王、高官、千人隊長、富める者、力ある者、また、奴隷も
自由な身分の者もことごとく」つまり、すべての人は、洞穴や山の岩間に隠れ、
「山と岩に向かって、『わたしたちの上に覆いかぶさって、玉座に座っておら
れる方の顔と小羊の怒りから、わたしたちをかくまってくれ』と言った。」だ
けでした。
 宇宙の法則自体が通用しなくなる事態ですから、「どうも神が怒っておられ
るらしい」ということは察知したようです。しかし「怒りの大いなる日」すな
わち、終末の裁きが来たらしい、とは気づかない。
 本来でしたら、悔い改めねばならないところ、「山と岩に向かって、『わた
したちの上に覆いかぶさって、玉座に座っておられる方の顔と小羊の怒りから、
わたしたちをかくまってくれ』と言った。」といった「とりつくろい」だけで
しのげる、と考えているのです。
 これからが心配です。
しかし、この人たちの対応を見ていると、現代の私たちの災害に対する対応を
見ているような気がします。ここに出てくる「地上の王、高官、千人隊長、富
める者、力ある者、また、奴隷も自由な身分の者もことごとく」はわたしたち
の姿そのものなのではないでしょうか。
 さて、災厄に関しては、この後、第七の封印の開封によって、さらなる厳し
い災厄へと突き進んで行くのですが、ここで、もう一度、救われた者への「復
活の命の保証」が確かなものとされることとなります。
 まず、神によって「聖なる民」とされたイスラエル(申命記7:6)、につ
いてはどうなのでしょうか。彼らは、イエス・キリストよりも先の時代に生き
ていたので、イエス・キリストを知らないのですが。
 これについては、神は、玉座に座っておられる方、は、きちんと復活の命
(からだ)を用意していてくださることを宣言されます。良かったですね。
 しかし、ここで、場面は、地上に戻ります。

7:1〜3「この後、わたしは大地の四隅に4人の天使が立っているのを見た。
彼らは、大地の四隅から吹く風をしっかり押さえて、大地にも海にも、どんな
木にも吹きつけないようにしていた。わたしはまた、もう一人の天使が生ける
神の刻印を持って、太陽の出る方角から上ってくるのを見た。この天使は、大
地と海とを損なうことを許されている4人の天使に、大声で呼びかけて、こう
言った。『我々が、神の僕たちの額に刻印を押してしまうまでは、大地も海も
木も損なってはならない。』」

(この項、続く)



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