2021年2月28日
〔ヨハネの黙示録連続講解説教〕
第50回「ヨハネの黙示録6章1〜2節」
(16/7/24)(その1)
6:1〜2「また、わたしが見ていると、小羊が7つの封印の一つを開いた。
すると、4つの生き物の一つが、雷のような声で「出てこい」と言うのを、わ
たしは聞いた。そして見ていると、見よ、白い馬が現れ、乗っている者は、弓
を持っていた。彼は冠を与えられ、勝利の上に更に勝利を得ようと出て行った。」
将来の神の国、まさに天国において、玉座に座っておられる方、神さまが、
巻物の封印を解く方として、『屠られたような小羊』であられるイエスをご指
名なさり、まさに、『屠られたような小羊』であられるイエスがそれを玉座に
座っておられる方の右の手から受け取ったときの礼拝が、先週で終わりました。
振り返ってみますと、まず、玉座を取り囲んでいる四つの生き物と、二十四
人の長老が「新しい賛歌」を歌いました。
その長老たちの讃美歌に続いて、天使たちが賛美を歌いました。
そして、それに続いて、すべての被造物が賛美をささげました。
そして最後にこの礼拝において、司会者にあたる四つの生き物と長老たちが
『アーメン』を持って礼拝の締めくくりとしたのです。
そしていよいよ今日から、『屠られたような小羊』であられるイエスが封印
を一つずつ開いていく作業が始まります。
そこでまず最初に、久しぶりですので、巻物とは何で、封印とはなになのか、
確認しておくことが必要です。
最初に巻物が出てきたのは、5章1節、神の国の中心におわします「玉座に
座っておられる方」の右の手にそれがあり、そして、それには7つの封印がさ
れてありました。
まず巻物については、実は、旧約の預言者エゼキエルが、見者ヨハネと同じ
ように幻を見たときも、神さまから巻物を与えられるという出来事がありまし
た。(エゼキエル書2:9以下)イスラエルの、救いと滅びの運命が、神の御
計画が記されていた、という訳なのです。
それでは、封印とは何か。
実は、「封印」という語は、旧約聖書の中では、6回しか用いられておりませ
ん、希少語です。しかも、ヨブ記41:7で巻物とは関係のない意味で用いられ
ている以外は、すべてエレミヤ書32:6~15の「アナトトの畑を買う」物語でだ
け用いられている用語です。エレミヤ書32:6~15は、証書の封印の話ですが、
見者ヨハネが、神の巻物が封印されている、と言うときに、このエレミヤ書の
物語を意識して「封印」という語を用いている、と考えられます。この話はよ
く御存じの方もいらっしゃることと思いますが、エレミヤの象徴預言としてよ
く知られた物語です。預言者エレミヤが、主の言葉に従って、いとこのハナム
エルからアナトトの畑を買い取りました。それはベニヤミン族の所領に属しま
す。エレミヤは、その購入証書を証人たちの見ている下で封印し、素焼きの器
に納めました。
そしてエレミヤは、この行為を、「イスラエルの神、万軍の主が『この国で
家、畑、ブドウ園を再び買い取るときがくる』と言われるからだ」と説明しま
した。
やがてユダはバビロンの占領下となるだろうが、いつの日か、神は、イスラ
エルを復興させてくださるしるしが、この封印された証書だったのです。
さて、見者ヨハネが見た巻物は、「隠されていた」ばかりではなく、7つの
封印が施されていました。
と言うことは、そこに記されていることは、神の怒りばかりではなく、実は、
贖いの業、救いの業が記されているのだ、ということになります。
よって、『屠られたような小羊』であられるイエスが、封印を開くことに
よって、贖いの業、救いの業が成就されるはずだ、ということを私たちは、前
知識として持ちつつ先へ進んでまいりましょう。
しかし、6章1節から8章5節までの7つの封印が解かれる物語を見ますと、
そこには、救いと言うよりは、滅びの出来事が書き連ねられております。それ
がなぜなのか、そのことも私たちがこの箇所を読むうえでの課題として取り組
んでまいりましょう。
さて、6章1節〜8節には、最初の4つの封印を解く物語が出てまいります。
これらは、「4つの馬の物語」として有名な話でして、古代から「4つの災い」
の物語として受け止めて来られました。しかし、本当のところどうなのか。今
日は、「第一の馬の物語」を取り上げることによって、検討してまいりたい、
と思います。
(この項、続く)
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