2021年1月3日
〔ヨハネの黙示録連続講解説教〕
第46回「ヨハネの黙示録5章10節」
(16/6/19)(その1)
9〜10節「あなたは、巻物を受け取り、その封印を開くのにふさわしい方です。
あなたは、屠られて、あらゆる種族と言葉の違う民、あらゆる民族と国民の中
から、御自分の血で、神のために人々を贖われ、彼らをわたしたちの神に仕え
る王、また、祭司となさったからです。彼らは地上を統治します。」
今日のところは、9節から始まります賛歌の続きの部分ですので、どうして
も復習中心にお話しせざるを得ません。
まずこの場面ですが、それは天上において、「屠られたような小羊」たるイ
エスが、「玉座に座っておられる方(神)」から封印された巻物を受け取られ
た時、玉座を囲む四つの生き物と、24人の長老が賛歌を歌った、その場面です。
四つの生き物と24人の長老は、皆「ひれ伏し」ました、すなわち礼拝しまし
たが、賛歌を歌ったのは、もっぱら24人の長老、その、いわば、伴奏を担当し
たのが四つの生き物と考えられます。そして、四つの生き物と24人の長老の両
者は、協力して香の中に込められている聖者たちの祈りを「屠られたような小
羊」に伝え、とりなしをしたのです。
そしてそのとりなしの内容ですけれども、2つの点について、先週考察いた
しました。
第一は、この歌が新しい歌と呼ばれている、という点です。
旧約聖書では、この「新しい歌(オーデーン・カイネーン)」という表現は、
詩編の、33:3、40:4、96:1、98:1、144:9、149:1の6か所に出て
きます。また、イザヤ書42:10にも出てきます。それによれば、古い時代が過
ぎ去り、神が新しい時代を始められた、それはまだ暮明であるかもしれないが、
その新しい時代に属する歌、それが「新しい歌(オーデーン・カイネーン)」
なのです。
そこで、ユダヤ教時代においては、「新しい歌(オーデーン・カイネーン)」
とは、「終わりの時」に神がなさる業、救われる者には永遠の救い、滅びる者
には永遠の滅び、それを賛美して歌う歌とされました。
では、キリスト教時代においては、何が新しいのでしょうか。
ユダヤ民族の救いだけでなく、「すべての民」の救いが射程に入っている点が
新しい、と思われるかもしれませんが、その思想は、ユダヤ教の時代からあり
ました。ダニエル書7:14には、終わりの時には、すべての民に神の支配が及
ぶことが記されています。
そうではなく、「聖徒たち」の祈りのとりなしをなした、ということなので
す。
「聖徒たち」とは、黙示録に置いては、終わりの日の贖いを祈り求めるクリ
スチャンの意味です。そして、キリスト教の時代になって、そのクリスチャン
は、徐々に異邦人が主流となってまいりました。それゆえ、この香に込められ
たクリスチャンの願いというのは、異邦人クリスチャンの願いであり、そして
その異邦人クリスチャンの願いとは、異邦人としての自らと、同胞の救い、す
なわち異邦世界、そして世界全体の救いであったのです。
ユダヤ人が勝手に「異邦世界のことも配慮しているよ」と押し付けたとりな
しではなく、異邦人自身が、自らの救いを求めるとりなしであった、その点が
全く新しいものであったということです。
第二は、「その封印を開く」ということで、終わりの日の贖いをもたらす者、
屠られ、「贖った(アゴラゾー)」、イエスが何を贖ってくださったか、とい
う問題です。
日本語訳聖書は、
「あらゆる種族と言葉の違う民、あらゆる民族と国民の中から…人々を」と
なっています。
しかし、原文は明らかに「あらゆる種族と言葉の違う民、あらゆる民族と国
民を」です。そして、「人々を」は原文にはない、翻訳者がつけたつけたしで
す。イエスは、明らかに「あらゆる種族と言葉の違う民、あらゆる民族と国民
を」、すなわちすべての民を贖われたのです。
(この項、続く)
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