2020年11月08日
〔使徒言行録連続講解説教〕
第42回「ヨハネの黙示録5章6節」
(16/5/22)(その1)
連続講解説教の宿命で、毎回、前回の振り返りをしないと前へ進めません。
巻物話の続きではあるのですが、前回は封印を巡って話が展開いたしました。
神がその御計画を記された巻物、良いことも悪いことも書かれていることで
しょう、そこまではよろしいですね。それが隠されるようになった、というの
が、イエスの前の時代です。良いことがなくなってしまって、もう後は終末の
裁きを待つしかない、ということで、神さまも、巻物の内容をちらっちらっと
でも知らせる必要がなくなってしまわれた、ということです。
ところが、前回のお話は、その巻物が、その内容が隠されたばかりではなく、
封印されてしまっていた、ということで、わたしたちは、ここでもう一度ビック
ラコしてしまったわけであります。
旧約聖書の中で、封印という語は、ほとんどエレミヤ書32章にしか出てきま
せん。そこは、あの有名な、エレミヤがアナトトの畑を買う物語が記されてい
るところです。
北イスラエル王国はとっくに滅び、南のユダ王国も今や風前のともしびとな
り、もう後はバビロン捕囚を待つのみ、という時代、預言者エレミヤは、何と、
たぶんブドウ畑だと思われますが、アナトト(これは地名です)にある畑を買
うのです。
なんでそんなことするの? と、皆が思ったことと思います。だって、もう
すぐユダはバビロニアに占領され、畑だろうが何だろうが、皆バビロニアに取
りあげられ、蹂躙されるのは目に見えているからです。
これは、間近くは、日本帝国主義に占領され、国土を蹂躙されようとしてい
たころの朝鮮半島の心ある人々の思いと共通するものだ、と思います。悲しい
ことです。
しかし、神さまは、エレミヤに対して、「そうしろ」とおっしゃる。強く
おっしゃる。「購入証書を作り、封印をし(ここで封印が出てきます)それを
壺に入れて、隠して、たぶん土に埋めておけ。」とおっしゃるのです。なぜで
しょうか。それは、「万軍の主が、『この国で家、畑、ブドウ園を再び買い取
るときが来る』」、つまり、イスラエル再興の約束のしるしだったのです。
その封印が、しばしの時を経まして、ここ、黙示録で再登場いたしました。
天上の神さまの右の手に、この封印された巻物があり、天使が、「この封印を
解くことのできる者はだれか」と叫んでいます。
しかし、封印を解くことのできる者はおらず、それを見ていた見者ヨハネは、
「もうこれで世界もおしまいか」と、ワンワン泣いていたところが、そこに、
長老の一人が現れ、「ユダ族から出た獅子、ダビデのひこばえが勝利を得たの
で、7つの封印(ここでは封印は7つです)を開いて、その巻物を開くことがで
きる」と告げて、見者ヨハネもほっと一息、その封印を解くことのできる者の
登場を待つ、と言うのが、前回の最後の場面でした。
すなわち、ここでの封印のなかには、イスラエルの再興ではなく、終末の滅
びの中で、(このままではすべての者が滅びてしまいます)、贖われし者が救
われることを記してあった、あるのです。
よって封印を解くことのできる者はイエスしかおりません。しかも、単なる
「ユダ族から出た獅子、ダビデのひこばえ」だけではない、十字架の、贖い主
としてのイエスです。
そして、天国で登場したイエスは、小羊でした。しかも「屠られたような小
羊」として登場したのです。今日の場面はそこから始まります。
6節「わたしはまた、玉座と四つの生き物の間、長老たちの間に、屠られた
ような小羊が立っているのを見た。小羊には七つの角と七つの目があった。こ
の七つの目は、全地に遣わされている神の七つの霊である。」
今日のテーマは、その現れられた小羊の立ち位置とその権能です。
(この項、続く)
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