2020年09月27日
〔使徒言行録連続講解説教〕
第39回「ヨハネの黙示録5章1節」
(16/4/24)(その1)
1節「またわたしは、玉座に座っておられる方の右の手に巻物があるのを見た。
表にも裏にも字が書いてあり、7つの封印で封じられていた。」
ヨハネの黙示録の講解説教ですが、今日から、4章を終わって5章に入ります。
5章に入って新たな展開がありますので、まず4章を振り返っておきたい、と思います。
4章は、見者ヨハネが垣間見させていただいた将来の神の国の様子です。
中央には、玉座に座っておられる方がいらっしゃいました。その周りには、いろいろな装
飾や、効果音がありましたが、その詳細は今は省略します。
その玉座に一番近いところに4つの生き物がいました。これは旧約聖書に出てくるケル
ビムの成れの果ての姿です。旧約聖書のケルビムは、明らかに神を守る働きをしていた、
と考えられますが、ここで出てくる4つの生き物は、体の前面にも、6つの翼の表にも裏
にも目があって、監視をするというよりは、地のすべての被造物に目をいきとどかせてい
るのでした。
次にその外側に24人の長老がいました。この人々は、天使です。しかし、旧約聖書での
天使は、神の相談役で、時には裁判官であったり、検察官であったり、怖い役割を果たし
ていましたが、ここでの24人の長老は、自らの冠を投げ出して、ひたすら神を礼拝してい
ました。冠を投げ出した、ということは、茨の冠を被る覚悟とも受け取られ、イエスに
倣ってひたすら仕える務めをなしていたのです。
わたしたちは、天の国と言うと、ひたすら、地上の被造物、わたしたちも含めて、を監
視する機関と受け止め、感じていますが、ヨハネが垣間見た神の国においては、神の国の
スタッフは、ひたすら、被造物を見守り、仕える方々だったのです。なんと素晴らしいこ
とでしょうか。
さて、その天国で、神の国で、いよいよ世界の終わりにつながるできごとが始まりまし
た。というのが5章以下の物語です。
そして、その最初は、「封印された巻物が示される」という出来事でした。今日はそこ
のところを見てまいりましょう。
1節「またわたしは、玉座に座っておられる方の右の手に巻物があるのを見た。表にも
裏にも字が書いてあり、7つの封印で封じられていた。」
まず、見者は、「玉座に座っておられる方」とは神のことですが、その右の手に「巻物」
があることを発見します。今まで見てはいたのですけれども、気がつかなかったのでしょう。
よくあることです。
「右」というのは、使徒信条でも告白しているように、力の象徴ですから、神さまはこ
の「巻物」を用いて、「巻物」に書かれているとおりに「力」を発揮してこられたのです。
細かいことですが、「右の手に」の「に」は、「上に」の前置詞が用いられていますか
ら、神さまが巻物をつかんでおられた、というよりは、手のひらを開いて、その上に巻物
を置いておかれた、と考える方が自然か、と思われます。
どうでもよいことか、とは思いますが、イメージとして考えるうえでは、参考になるか
もしれません。
が、神さまの手のひらの上にあったものが、「巻物」であったのかどうか、実は確定で
きないのです。そして、それが「巻物」であったかどうかによって、その中身もいろいろ
な可能性が考えられるのです。
(この項、続く)
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