2020年08月30日

〔使徒言行録連続講解説教〕

第37回「ヨハネの黙示録4章10節」
(16/4/3)(その1)

10節「二十四人の長老は、玉座に着いておられる方の前にひれ伏して、世々限
りなく生きておられる方を礼拝し、自分たちの冠を玉座の前に投げ出して言った。」

 受難週、そしてイースターの礼拝がありましたので、本当に久方ぶりの講解
説教です。
 黙示録の4章以下は、見者ヨハネが垣間見た、将来の神の国の様子が描かれ
ています。
 天の中央には玉座があって、そこには、神が座っておられます。しかし、当
然のことながら、その神の姿は描かれてはおりません。その神の周りのいろい
ろな装飾物はともかくとして、一番近くにいたのは、ケルビムが原型だと思わ
れますが、4つの生き物でした。その姿、形、役割について、振り返っておき
ましょう。
 まず、この4つの生き物には前にも後ろにも一面に目がありました。これは
どういうことなのでしょうか。目があるということは、本来は監視をする、と
いう意味です。しかし、占星術では、目は星ですから、4つの生き物はたくさ
んの星を身にまとっていたことになります。星は、黙示録1:20によれば教会
の天使です。4つの生き物は、教会に警告と、そして慰めを与える「守り神」
としての役割を担っていたのです。
 更に、この4つの生き物には、それぞれ6つの翼があり、その周りにも内側
にも、一面に目がありました。
 6枚の羽根を広げれば、表面積はかなり大きくなります。そこにびっしりと
「目=星」が敷き詰められていたとすると、全世界全宇宙の隅々にまで、目が
行き届く、だけではなく「光」をもたらしていたことになります。
 要約すれば、この4つの生き物は、全身に目を持つことによって、しかも、
6つの翼に敷き詰められた目によって、全宇宙に光をもたらしていた、という
ことになります。
 大変にありがたいことだ、と思います。私たちは、自分だけの力で生きてい
る、と考え、喜んだり、そして、もうだめだと絶望したりしながら、生きてい
ますが、実は、天には、巨大な6つの翼を持ったケルビムが4つおりまして、
全身をもって目を光らせて、私たちを見守っていてくださるのです、と考える
と、何かほっとするのではありませんでしょうか。
 もちろん、そのケルビムさんに遭えるのは、世界の終わりの時ではあるので
すが、神の国は、「もうすでに来た」と言われていますので、ケルビムさんの
優しい目の一つは、隣の、人の家でおしっこしていく犬のポチの目として、私
を見守っているやも知れず、実は、私たちは、人知れず、元は神さまですが、
たくさんの見守りをいただいているのではないでしょうか。そうだとすると、
大変に心強いものです。
 しかし、見守ってくれるのが、動物の目だけだとすると、人間である私たち
にとっては、時には恐怖であることもあり、同じ人間の同朋として、見守って
くれる目の存在を必要としております。そのような役割を将来の神の国におい
てになっていてくれるのが、今日、再登場いたします24人の長老なのです。
24人の長老は、4節で一度だけ紹介されました。そこを振り返っておきましょう。
 4節で、玉座の周りの描写において最初に紹介されるのが、24人の長老でし
た。
 本当は、3節で、玉座に座っておられる方の様子、そして、その周りに虹が
あることが触れられていましたので、次は、5節にあるように、音、そしてと
もし火、そして6節にあるように、玉座の前の様子、と、物の描写につながって
行くのが自然か、と思われます。
 その次に初めて、玉座を取り巻く生き物が登場し(6節)、しかもその最初
は、「4つの生き物」で、24人の長老はその次のランクでした。(10節)
 つまり、24人の長老は、玉座を取り巻く生き物としては、NO.2でした。
残念ながら、NO.1ではありませんでした。

(この項、続く)



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