2020年08月16日

〔使徒言行録連続講解説教〕

第36回「ヨハネの黙示録4章9節」
(16/3/13)(その1)

9「玉座に座っておられ、世々限りなく生きておられる方に、これらの生き物
が、栄光と誉れをたたえて感謝をささげると、」

 来週から、受難週そしてイースターの礼拝に入りますので、講解説教はしば
しお休みとなります。
 次回、4月3日に、お待ちかねの24人の長老の讃美をもって、私が俗に「天
国」と言っては来ましたが、正確に言えば、将来の神の国の様子の描写は終わ
り、いよいよ、5章から世界の終末の時の出来事、ないしはそれを指し示す出
来事に入って行くわけであります。
 そういう訳で、今日は、長老たちの讃美を前に、4つの生き物(ケルビム)
の働きをまとめておくこととなります。
 4章に始まる「天国」の描写の中で、そもそも4つの生き物(ケルビム)と
は何なのか、振り返りつつ、確認しておくことといたしましょう。
 天国の中心には、神さまのおはします玉座がありました。玉座からは、いろ
いろな音や光が出、そしていろいろな装置が置かれていましたが、玉座にいち
ばん近いところにいたのは、4つの生き物でした。
 この4つの生き物は、旧約聖書に度々登場する「ケルビム」の成れの果ての
姿と考えられるのですが、まず、この4つの生き物には、前にも後ろにも一面
に目がありました。これはどういうことなのでしょうか。占星術では、目は星
ですから、4つの生き物はたくさんの星を身にまとっていたことになります。
星は、黙示録1:20によれば教会の天使です。4つの生き物は、教会に警告と、
そして慰めを与える「守り神」としての役割を担っていたのです。
 そして、4つの生き物は、それぞれ、獅子、牡牛、人間、鷲の顔を持ってい
ました。それは、星座との関連で、この四つの生き物で、季節を支配していた、
ということを意味していました。
 また、さそり、獅子、牛、鷲は、地の四つの元素、すなわち、水、火、地、
空を表わしておりますので、四つの生き物は、地と空とすべてに目を光らせて
いることにもなります。
 4つの生き物で、全世界全宇宙に目を光らせていたのです。
更に、8節によれば、この4つの生き物には、それぞれ6つの翼があり、その
周りにも内側にも、一面に目がありました。
 6枚の羽根を広げれば、表面積はかなり大きくなります。そこにびっしりと
「目=星」が敷き詰められていたとすると、全世界全宇宙の隅々にまで、目が
行き届く、だけではなく「光」をもたらしていたことになります。
 要約すれば、この4つの生き物は、全身に目を持つことによって、しかも獅
子、牡牛、人間、鷲の顔を持つことにより、地と空ばかりでなく、全季節にお
いて目を光らせており、しかも、6つの翼に敷き詰められた目によって、その
全宇宙に光をもたらしていた、ということになります。
 この4つの生き物の大きな働きにより、もしも、全世界全宇宙の隅々にまで、
目が行き届く、そして「光」がもたらされるとすると、そこに、完全なる賛美
が生まれます。
 それが、『聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、全能者である神、主、か
つておられ、今おられ、やがて来られる方。』との讃美だったのです。
 今日は、その讃美の中身を吟味することとなります。
まず、この賛美は、(神に)「栄光と誉れをたたえて感謝をささげる」と要約
されていることに注目してまいりましょう。
 まず、訳文の問題ですが、新共同訳聖書では、4つの生き物(ケルビム)が
「たたえた」のは、「栄光と誉れ」であり、これとは別に「感謝」をささげた、
お礼を言った、と読み取れます。
 この点は、協会訳聖書でもほとんど同様でして、「栄光とほまれとを帰し、
また、感謝をささげている時」と訳されています。

(この項、続く)



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