2020年08月02日

〔使徒言行録連続講解説教〕

第35回「ヨハネの黙示録4章8節」
(16/3/6)(その1)

8「この4つの生き物には、それぞれ6つの翼があり、その周りにも内側にも、
一面に目があった。彼らは昼も夜も絶え間なく言い続けた。『聖なるかな、聖
なるかな、聖なるかな、全能者である神、主、かつておられ、今おられ、やが
て来られる方。』」

 1週間、間が空きましたけれども、見者ヨハネが垣間見た将来の神の国、天
国の様子を学んでおります。
 天国の中心には、神さまのおはします玉座がありました。玉座からは、いろ
いろな音や光が出、そしていろいろな装置が置かれていましたが、玉座にいち
ばん近いところにいたのは、4つの生き物でした。
 この4つの生き物は、旧約聖書に度々登場する「ケルビム」の成れの果ての
姿と考えられるのですが、前回は、この4つの生き物の前にも後ろにも一面に
目があったことと、4つの生き物がそれぞれ、獅子、牡牛、人間、鷲の顔を
持っていることを、前々回そして前回、学びました。
 この4つの生き物の前にも後ろにも一面に目があったことについては、占星
術では、目は星ですから、4つの生き物はたくさんの星を身にまとっていたこ
とになります。星は光を放つものですが、同時に、黙示録1:20によれば教会の
天使です。4つの生き物は、教会に警告と、そして慰めを与える「守り神=光」
としての役割を担っていたのです。
 そして、4つの生き物がそれぞれ、獅子、牡牛、人間、鷲の顔を持っている
ことについては、それぞれが四つの福音書を表わす、というものではなく、星
座との関連で、この四つの生き物で、季節を支配していた、ということを意味
していると考えられるのです。
 また、バビロニアの占星術においては、さそり、獅子、牛、鷲は、地の四つ
の元素、すなわち、水、火、地、空を表わしておりましたので、四つの生き物
は、地と空とすべてに目を光らせていることにもなります。
 4つの生き物で、全世界全宇宙を照らしていたことになります。
しかし、4つの生き物が、目を持って照らしていたのは、全世界全宇宙を監視
するためだけではありませんでした。それが、今日のところです。
 8節は一節に過ぎませんが、2つのことに触れられています。第一に「この
4つの生き物には、それぞれ6つの翼があり、その周りにも内側にも、一面に
目があった。」ということです。
 まず、翼の数です。ここが今日の第一の注目点なのです。
旧約聖書で一番進化したエゼキエル書の4つのケルビムは、それぞれが4つの
翼を持っていました。エゼキエル書1:6に「それぞれが4つの顔を持ち、4
つの翼を持っていた。」とあるとおりです。
 私たちが知る地上の鳥においては、翼は2つです。空を飛ぶにはそれで十分
なはずなのですが、なぜエゼキエル書のケルビムは4つの翼を持っていたので
しょうか。それについては、エゼキエル書1:22〜25の叙述がヒントになります。
すなわち、

エゼキエル書1:22〜25「生き物の頭上には、恐れを呼び起こす、水晶のように
輝く大空のようなものがあった。それは生き物の頭上に高くひろがっていた。
大空の下では、生き物の一対の翼がまっすぐに伸びて互いに触れ合い、他の
一対の翼が彼ら体を覆っていた。それらが移動するとき、翼の羽ばたく音をわ
たしは聞いたが、それは大水の音のように全能なる神の御声のように聞こえ、
また、陣営のどよめきのようにも聞こえた。それらが止まっているとき、翼は
垂れていた。」

 かつてニュージーランドには、モアと今呼ばれている、高さ3メートルにも
及ぶ、ダチョウのように飛べない鳥がおり、更にそのモアを捕食する「ハルパ
ゴルニスワシ」という猛禽類がおりました。両者とも、1500年ごろニュージー
ランドに人類(マオリ族)が住むようになって、絶滅してしまいましたが、イ
スラエル近辺にも、そんな鳥がいたかもしれません。
 4つの生き物=ケルビムは、そのような鳥にして、しかも翼が4つあるという
のですから、この4つの生き物が玉座の周りを取り囲んでいることにより、周
囲を威圧し、恐れさせ、ふるえあがらせていたに違いないのです。そうやって、
神の権威を保たせていたのです。

(この項、続く)



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