2020年06月21日

〔使徒言行録連続講解説教〕

第31回「ヨハネの黙示録4章5節」
(16/2/7)(その1)

5節「玉座からは、稲妻、さまざまな音、雷が起こった。また、玉座の前には、
七つのともし火が燃えていた。これは神の七つの霊である。」

 見者ヨハネが垣間見た、将来の神の国の様子の描写の三回目です。
「天国」の中心には、神の玉座がありました。そして、前回のところですが、
その玉座の周りには、24人の長老の座があって、そこに24人の長老が座ってい
ました。本当は、長老席はもっと外側なのですが、長老たちが、議論したり、
裁いたりするという、昔の「天国」のイメージと違って、ただひたすらに神を
賛美しているものですから、つまり、新しい「天国」の姿の象徴なものですか
ら、上位の者たちを差し置いて、先に紹介されたのです。
 そこで、今回は、もう一度、玉座に戻って、玉座そのもの、玉座の周りにあ
る装飾に目を留めてみましょう。
 3節「その方は、碧玉や赤瑪瑙のようであり、玉座の周りにはエメラルドの
ような虹が輝いていた。」
 まず、玉座におられる方、すなわち「神さま」ですけれども、「碧玉や赤瑪
瑙」と描写されています。これはどういう意味があるのでしょうか。
 碧玉は、皆さまよく御存じのように、ジャスパーとも呼ばれ、石英の結晶が
集まってできた宝石です。日本では「勾玉」としても用いられ、3月の誕生石
である「ブラッドストーン」も碧玉の一種です。
 ところが、ここ、黙示録で言う「碧玉(ヒアスピス―この語は黙示録にしか
出てきません)」がどのような色の石なのか、実は確定できていません。ある
学者は、どんよりとした、くすんだ石を考えます。また、ある学者は、半透明
のグリーンの石を考えます。碧玉は、酸化鉄や水酸化鉄などの不純物が含まれ
ており、その不純物の違いにより、色が変わるのです。さらに、ある学者は、
赤い石を考えます。
 私なぞは、「勾玉」のイメージから、どうしても赤い石を考えてしまうので
すが、ある学者は、古代においては、「グリーン」が希少性のゆえに、価値あ
るものと考えられていた事実から、ここで言う碧玉は、グリーンで、そして
ひょっとしたらダイアモンドだったのでは、と考えています。
 細かいことを言うようですが、どのような色だったかによって「神さま」の
イメージが変わります。ここは、明らかに、著者が、エゼキエル書1:4、27
を参考にしながら、描いている所でありますから、「神さま」がいかに高価な
ものを身にまとっているか、ということではなく、「火(裁き主)」のイメージ
と結びついたところであり、わたしはやはり、「赤」であったのではないか、
と考えています。
 次に「赤瑪瑙(サルディオン―これも黙示録にしか出てこない語です)」です。
今、赤瑪瑙(カーネリアン)と言えば、勇気がわくパワーストーンとして知ら
れていますが、現代では、「宝石」とは考えられていません。
 しかし、このサルディオンが「赤い碧玉」を指す、と考える人もいます。な
ぜなら、その人は、「碧玉(ヒアスピス)」を、グリーンであるとしたうえで、
グリーンと赤と並べて、高貴のしるしとみるからです。
 「赤い碧玉」か、赤瑪瑙(カーネリアン)か、私は、赤瑪瑙(カーネリアン)
だったと思っています。ここは、エゼキエル書に倣って、神が裁き主であるこ
とを言っているところだからです。
 それでは「エメラルドのような虹(ヒーリス)」は何でしょうか。
ある人は、玉座の周りに石英がちりばめられていた、と考えます。石英は、光
を通すと、そこにプリズムができる、すなわち七色に輝くからです。そしてそ
れがなぜエメラルドと間違えられたか、と言うと、エメラルドが海水を通すと、
海水の中では無色になるからだ、と言うのです。
またある人は、虹(ヒーリス)という語は、黙示録に二回しか出てこない語で
すが、ここでは、虹ではなく、後 光のことをさすと考えます。「神さま」の
周りには、後光が差していた。そしてその色がエメラルド色、グリーンだった、
というのです。
 どちらが正しいのか、決定できません。しかしながら、見者ヨハネが、エゼ
キエル書1:27以下を参照しながら、この場面を描いているとすると、「神さま」
が栄光の姿で輝いておられることが、彼が伝えたかったことであり、後者、
「後光」説が有力です。

(この項、続く)



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