2020年01月19日
〔使徒言行録連続講解説教〕
第21回「ヨハネの黙示録3章1〜3節」
(15/10/25)(その2)
ところがそうではない。この教会は、最後に出てくるラオディキアの教会と
並んで、もっとも顰蹙を買う、いやイエスの怒りをさえ買う教会となってし
まっていたのです。
これはいったいどうしたことなのでしょうか。
1〜2節「わたしはあなたの行いを知っている。あなたが生きているとは名ば
かりで、実は死んでいる。目を覚ませ。死にかけている残りの者たちを強めよ。
わたしは、あなたの行いが、わたしの神の前に完全なものとは認めない。」
問題となっているのは、サルディス教会の信徒の「行い」です。
が、ここには、翻訳上の問題があって、この「行い」は、ヤコブ書のように
「信仰」と「行い」を分けた時の「行い」の意味ではなくて、3章19節につい
て説明したとおり、「信仰の姿勢」のことで「わざ」と訳すべき言葉です。サ
ルディス教会の信徒の「信仰の姿勢」が「生きているとは名ばかりで、実は死
んでいる。」というのです。
しかし、「生きているとは名ばかりで、実は死んでいる。」とはいったいど
ういう意味なのでしょうか。比喩的な表現でいったい何があったのか、ちっと
もわかりません。古い注解者は、他の宗教の影響を受けて、道徳的、霊的に堕
落した、と解釈していますが、「他の宗教の影響を受けた」ことも、「道徳的、
霊的に堕落した」ことも、本文からは全く読み取れません。一体何があったの
でしょうか。
しかし、実は「生きているとは名ばかりで、実は死んでいる。」の一文がヒ
ントになって多くのことが分かるのです。
実は原文は、そのまま訳すと「生きているという名をもつ」と訳せます。
「生きているという名をもつ」とはどういうことか。これもいろいろな解釈が
ありますが、「生きていると主張している」との解釈が最も妥当だ、と思われ
ます。そして、黙示録においては、「生きる」とは永遠の命のことを指します
から、彼ら、サルディス教会のある人々は、「私は既に永遠の命を持っている」
と主張していることになります。
こうなると、エフェソ、ペルガモンでは明確にニコライ派という形をとり、
ティアティラでもその背景にあった、もはや時代の風潮とも言うべきある考え
にぶち当たるのです。キリストによって贖われたクリスチャンは、完全なもの
である、という主張です。
これは正しいでしょうか。何べんも言いますが、間違っています。私たち、
あえて私たちと言いますが、人はまだ肉の中におり、キリストの贖いによって
永遠の命の保証が与えられたのであって、完全どころか、罪人に過ぎないので
す。
一方、黙示録では、「死」は永遠の命に入れないことを意味しますので、そ
のような、他ならぬ自分が完全だとうぬぼれる傲慢こそが、神によって、イエ
スによって「永遠の死」に定められる、ということです。
皆さま、わが身を振り返ってぞっといたしません?ぞっと致しますね。
しかし、こっちは「永遠の命」、こっちは「永遠の死」とぴびっと分けられる
のではなくて、2節前半では「死にかけている残りの者」という人が出てきま
す。実は、確信を持って「永遠の命」に入れる人、確信を持って「永遠の死」
に至る人を除いて、信仰が絶えずゆらゆらしている「一般人」は皆ここに属す
のではないでしょうか。
「一般人」には、まだ「永遠の命」への確信は持てないかもしれませんが、
希望はあります。それが3節、
「だから、どのように受け、また聞いたか思い起こして、それを守り抜き、
かつ悔い改めよ。もし、目を覚ましていないなら、わたしは盗人のように行く
であろう。私がいつあなたのところへ行くか、あなたには決して分からない。」
2節も原文は、「目を覚ましていなさい」と訳すべきですが、これはどうい
う意味でしょうか。不眠でいなさい、ということではなく、災害を経験した日
本人には良く分かる。サルディスの人々にも過去の戦争体験(549、218年)か
らこのことはよく分かったのです。絶えず心を主に向けているように努力する
ことです。絶えず信仰の原点に戻り、大事にして、日々悔い改める、礼拝に欠
かさず出席される皆さんにはとってもよく分かることなのではないでしょうか。
そして、「もし、目を覚ましていないなら、わたしは盗人のように行くであ
ろう。私がいつあなたのところへ行くか、あなたには決して分からない。」と
言われるイエスの突然の到来については、最後の審判の時、と考える考え方と、
それ以前の到来を考える人と二通りあります。残念ながら、テキストから決定
打を読み取ることはできませんが、私は元住吉教会での体験から、それ以前の
到来と考えています。
(この項、続く)
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