2019年08月04日

〔使徒言行録連続講解説教〕

第9回「ヨハネの黙示録2章1〜3節
(15/7/12)(その1)

 二週間ぶりですので、最初に振り返りをしておかねばなりません。
ヨハネの黙示録の著者であるヨハネは、エーゲ海の小島、パトモスにいました。
迫害によって流されて、あるいは迫害を逃れてこの島にいたのです。
 さて、そんなある日、それは、「主の日」でした。「主の日」とは、日曜日
です。「主の日」に礼拝を守っていたときに、ヨハネが“霊”に満たされてい
ると、「後ろの方でラッパのように響く大声」が聞こえ、「あなたの見ている
ことを巻物に書いて、エフェソ、スミルナ、ペルガモン、ティアティラ、サル
ディス、フィラデルフィア、ラオディキアの7つの教会に送りなさい。」と言
われたのです。
 これが、黙示録全体が書かれた所以、きっかけでもあったのです。
その方は、「右の手に七つの星を持ち、口からは鋭いもろ刃の剣が出て、顔は
強く照り輝く太陽のようで」した。7つの星を持っている、これは7つの教会を
神の保護のもとにおいている、ということです。
 口からは鋭いもろ刃の剣が出て、は剣は明らかに裁きの意味で、もろ刃の剣
は「厳しい裁き」のしるしです。最後に顔が太陽のごとく、ですが、世界、宇
宙全体を支配しておられるということを言っているのでしょう。
 支配者にして、裁き主、しかも教会を保護のもとにおいていてくださるイエ
スの幻を、ヨハネは見たのです。
 そして、今日からは、そのイエスが実際に7つの教会に書いて送れ、と言わ
れた手紙について見ていくこと致しましょう。
 最初は、エフェソの教会宛です。

2:1〜3「エフェソにある教会の天使にこう書き送れ。『右の手に7つの星
を持つ方、7つの金の燭台の間を歩く方が、次のように言われる。「わたしは、
あなたの行いと労苦と忍耐を知っており、また、あなたが悪者どもに我慢でき
ず、自ら使徒と称して実はそうではない者どもを調べ、彼らのうそを見抜いた
ことも知っている。あなたはよく忍耐して、わたしの名のために我慢し、疲れ
果てることがなかった。」
 まず、イエスは「右の手に7つの星を持つ方、7つの金の燭台の間を歩く方」
と自称されます。これは、イエスがこれから「支配者」として語られる、とい
うことです。裁き主としてです。さて、それでは、エフェソの教会はどのよう
に裁かれるのでしょうか。
 エフェソの教会については、使徒言行録の第3伝道旅行の記事から詳しく知
ることができます。(使徒言行録18:24〜19:40)
 パウロは、プリスキラとアキラとの導きによって、エフェソに入り、2年3
か月間にわたって伝道しました。使徒言行録には、ここでのいくつかの騒動が
記されていますが、それでも、確実に教会は形成されたと見え、パウロのエル
サレム行に際しては、長老たちが、ミレトスにまで来て、パウロに別れを告げ
ました。
 しかし、パウロないしはキリスト教に対する反発も根強く、パウロがエルサ
レムで逮捕されたきっかけを作ったのも、実はアジア州(おそらくエフェソ出身)
のユダヤ人たちでした。
 さて、このエフェソ教会が、ヨハネの黙示録の時代にどのような状況にあった
か、ですが、これについては、資料がないため、判断するのが大変に難しい状
況です。
 しかし、ヘイスティングスらの研究によれば、70年のエルサレム陥落以降、
エルサレム教会は消滅してしまいましたから、エフェソ教会が、東方における
クリスチャン信仰の中心、最重要教会に成った、とも言われています。
 しかし、一方、ユダヤ教化した教師や、グノーシスに影響された教師たちに
よって、エフェソ教会は絶えず分派活動に脅かされていた、とも言われます。
 キリスト教会のリーダーとしての使命感と同時に苦悩も抱えていたわけであ
ります。
 さて、これ以降の、他の教会への手紙も同じ構成になっているのですが、手
紙は三部構成になっています。第一部は、「褒め言葉」です。「裁き主」イエ
スは、同じ盾の両面として「褒め主」イエスでもあらせられるのです。
 それでは、エフェソ教会は、何を褒められたのでしょうか。
「わたしは、あなたの行いと労苦と忍耐を知っており、また、あなたが悪者ど
もに我慢できず、自ら使徒と称して実はそうではない者どもを調べ、彼らのう
そを見抜いたことも知っている。」

(この項、続く)



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