2015年11月15日

〔使徒言行録連続講解説教〕

第35回「使徒言行録13章13〜43節」
(13/6/16)(その1)

13〜15節「パウロとその一行は、パフォスから船出してパンフィリア州のペル
ゲに来たが、ヨハネは一行と別れてエルサレムへ帰ってしまった。パウロとバ
ルナバはペルゲから進んで、ピシディア州のアンティオキアに到着した。そし
て、安息日に会堂に入って席に着いた。律法と預言者の書が朗読された後、会
堂長たちが人をよこして、『兄弟たち、何か会衆のために励ましのお言葉があ
れば、話してください』と言わせた。そこで、パウロは立ち上がり、手で人々
を制して言った。」

 いよいよ教会による異邦人伝道が始まりました。バルナバとサウロとは、き
ちんとした手続きを経て、アンティオキア教会を出発し、異邦人伝道に送り出
されました。これから先を読むにはどうしても地図が必要です。私たちも聖書
の巻末の地図7を見ながら、読み進めていくことといたしましょう。
 最初の伝道地はキプロスです。まず、サラミスのシナゴグで伝道し、それか
ら各地を巡りますが、思うような効果を上げることができません。しかし、首
都と言うか、地方総督の滞在地パフォスにまで来て、求道者を獲得することが
できました。それは何と地方総督自身だったのです。
 が、そこに立ちはだかる敵がいました。ユダヤ人にして、魔術師(マゴス)
にして、偽預言者であるところのバルイエス、別名エリマという男です。簡単
に肩書きを並べただけでもなかなか手ごわそうな人物です。この人物が福音宣
教の邪魔をしようとしました。ここは、神の権威、そして、福音宣教者に与え
られている権威を示さねばならない場面です。バルナバとサウロが、アンティ
オキアの教会できちんとした手続きを経て送り出されたことが役に立ちました。
特にサウロは名前を変えて変身し、つまり「神から遣わされた者―使徒」とし
ての権威をもって、それに専念して、このいわば「悪魔の手先」と対決しまし
た。この厳しい戦いに勝利して、結果神の力を目の当たりにし、地方総督自身
が信仰に入る、すなわち受洗をするという成果をもって、このたびのキプロス
伝道は終了したのです。
 伝道はこれで終了、ではありません。一行は、パフォスから船出して、小ア
ジア、今のトルコへと向かいます。到着した港は触れられていませんが、アタ
リア(14:25)という港町である、と考えられます。そこから10数キロ奥にペ
ルゲという町がありまして、そこへ寄ったことが記されております。ペルゲと
いう町は「大きな町」で、それぞれ20,000人の収容能力をもつ、劇場と競技場
があったとのことです。ここで伝道してもよさそうなものですが、一行は通過
していきました。最も、帰途には、どの程度の規模のものかは分かりませんが、
伝道が行われたようです(14:25)。そして、一行は、百数十キロ北上しまして、
つまり内陸部へ入っていきまして、ピシディア州のアンティオキア、小アジア
にもアンティオキアという町があったのですが、そこで伝道をすることとした
のです。この旅行は、距離だけでも大変ですが、実は途中にタウルス山脈とい
う3,000メートル級の山々が連なる山脈が立ちはだかっており、大変な難ルート
なのです。なぜ、そこまでしてアンティオキアに向かったのか謎です。ある学
者は「パウロがペルゲで病を患い、その治療のために」アンティオキアへ行っ
た、と推測していますが、仮にそうだとたら、病の身には、この旅行はかえっ
て痛手でしょう。むしろ、アンティオキアにはかなりの数のユダヤ人が住んで
いましたので、それが主たる理由でしょう。
 さて、こうして難旅行を経て、ピシディア州アンティオキアでの伝道が始ま
ります。今日は、その時の、シナゴグでの、パウロの説教のルカによる記録を
学ぶこととなります。この記録は大変に長いものですが、今日一気に学ぶこと
とします。三部に分かれていまして、第一部(16〜25節)は、「旧約聖書から
イエスまで、」第二部(26〜37節)は、「イエスについて、」第三部(38〜41
節)は、「勧め」です。とにもかくにも第一部をもう一度読んでから話を進め
ることといたしましょう。

16〜25節「イスラエルの人たち、ならびに神を畏れる方々、聞いてください。
この民イスラエルの神は、わたしたちの先祖を選び出し、民がエジプトの地に
住んでいる間に、これを強大なものとし、高く上げたみ腕をもってそこから導
き出してくださいました。神はおよそ40年の間、荒れ野で彼らの行いを耐え忍
び、カナンの地では7つの民族を滅ぼし、その土地を彼らに相続させてくださっ
たのです。これは、約450年にわたることでした。その後、神は預言者サムエル
の時代まで、裁く者たちを任命なさいました。

(この項、続く)



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