『我らは信じ、かつ告白す。』
(日本基督教団信仰告白講解説教1)
主たる聖書テキスト: マルコによる福音書 8章27〜30節
(前略)信条として最も古いものは使徒信条です。この使徒信条に、
ニカイア信条、アタナシオス信条を加えたもの、さらにはニカイア・
コンスタンティノポリス信条ならびにカルケドン信条を加えたもの
を基本信条と言いますが、基本信条はカトリック教会のみならず、
プロテスタント教会においても、正しい信仰を告白したものとして、
つまり規範として受け継がれてきました。日本基督教団においても
同様です。さらに宗教改革後のプロテスタント教会においては、そ
れに加えて、自分たちの教会ないし教派の信仰を告白する信仰告白
(文)を作成しました。その信仰告白(文)の位置付けは教派によって
異なるのですが、日本基督教団も、基本信条を規準として、日本基
督教団信仰告白を教会の信仰告白として持った教会です。
それゆえ、信仰を告白するに際し、ペトロは直接イエスにお答えし
ましたが、私たちは教会の信仰告白、日本基督教団信仰告白に応答
するのです。
洗礼式の時を思い起こしてください。そこでは必ず日本基督教団
信仰告白が司式者によって朗読されます。そして誓約の最初に問わ
れる問いが「あなたは聖書に基き、日本基督教団信仰告白に言いあ
らわされた信仰を告白しますか。」です。この問いに対して受洗者
が「告白します。」と答えることによって初めて式は先へ進みます。
ペトロの時と同じです。はじめにキリストの救いがあるのです。そ
のキリストに救われた者がキリストをどう受け止めるのか、問われ
ています。そして、ペトロをはじめとして代々の教会が受け止めて
きたその「答え」に、今度はあなたがどう答えるのか、問われてい
るのです。その時、「はい」の答え、つまりイエスを自分にとって
の救い主であると受け止める答えがなされた時、洗礼の恵みに与っ
て教会の一員とされ、永遠の命への道が開かれるのです。
が、信仰告白は洗礼式の時だけのものではなく、一生ものだ、とい
うことにも触れねばなりません。信仰告白はことば(Wort)ではなく
答え(Antwort)であるのですが、洗礼式のときのただのことばに終わっ
てしまう危険があるのです。そうなると永遠の命に入れません。そ
うならないために、次の二つのことが求められます。
1.信仰告白の実質化
信仰告白のことばが単なることばではなくて答えであるかどうか、
それは信仰告白のことばを聞いただけではだれにもわかりません。
しかしその後の信仰生活の中で誰の目にも、つまり神の目にも明ら
かになってきます。信仰告白が心からなる応答であるとしたら、そ
の人の中には必ず感謝があるはずです。感謝があれば、それは必ず
献身という目に見える行いとなって表われてきます。献身はその人
が仕事をやめて教会のために仕えるという形で表わされることもあ
るでしょう。たくさんの献金をするという形で表わされることもあ
るでしょう。たくさんの奉仕をするという形で表わされることもあ
るでしょう。いろいろな形があるでしょうが、ともかく献身は必ず
目に見える形で表われます。もし献身がないとすると、当然感謝も
ないわけで、その人の信仰告白は、ただ口先だけのことば、ウソだっ
たということになります。これでは永遠の命に至ることは不可能で
す。
本日の使徒書Tテモテ6:11〜では、「神の人」とも言われ、すでに
公に信仰告白したテモテに対して、愛すること、忍耐することなど、
当然と思われることが勧められていますが、それは信仰告白の実質
化、つまり献身のしるしを表わすことを通して、信仰告白が単なる
ことばではなくて答えであったことを証明することが求められてい
るということなのです。
2.信仰を告白しつづけること
十字架の恵みは洗礼のとき受け取ってそれっきりではありません。
未だ一方では肉の中にいるクリスチャンは、いつも罪の誘惑にさら
されつづけています。繰返しゆるしの恵みに立ち返ることが必要で
す。洗礼式後、どこでゆるしの恵みに出会うのでしょうか。それは
毎週毎週の主日礼拝の説教、み言葉の取り次ぎを通してゆるしの福
音に立ち返るのです。そして立ち返るたびごとに応答が求められて
います。説教は評論家気取りで聞いても何の意味もありません。時
間の無駄です。そこで語られるみ言葉、つまり神の恵みのメッセー
ジに対して、「あなたはどう受け止めますか。」と問いかけられるの
が、説教なのです。洗礼式のように改めて一人一人に聞かれること
はありませんが、その問いかけに対して、信仰告白をもって応答す
るのです。そしてその応答に対しても実質化が求められることは言
うまでもありません。(後略)
(2008/09/14 三宅宣幸牧師)
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