2008年05月11日

『主の日(問103)
 (ハイデルベルク信仰問答講解説教45)

主たる聖書テキスト: 出エジプト記 20章8〜11節
          ヨハネによる福音書9章13〜34節


 今、私たちは全世界的に一週間単位で生活しています。そして、
七日に一度休みをとっています。今や世界的となったこの制度が、
実は本日私たちが学ぶ、十戒の第四戒に由来します。七日に一度休
みをとることは、神が、天地創造のとき、六日間で天地を創造され、
そして七日目に休まれたからなのです。神ご自身は本来お疲れには
なられない方であるはずなのに、なぜお休みになられたのでしょう
か。それは、神がすべての被造物をお造りになられた後、ちょうど
スイッチを入れるようにして、「さあ、これからは働きつづけなさ
い。」とされたのではなく、働きそして休むという生活(「人生」)
を与えてくださるために模範を示されたということなのです。この
ように、神と同じように休みをいただくことにより、被造物は、神
の単なる操り人形ではなく、神と共に生きて働く者とされました。
ゆえに、私たちは神に倣って、六日間働いて、一日休むのです。休
みの日は、造り主なる神に立ち返るのが、被造物としては最もふさ
わしいことです。ですから、休みの日(安息日)の労働は厳しく禁じ
られることとなりました。特にユダヤ教においては、安息日にして
はいけない労働が細かく定められました。そして罰則は本来は死刑
でした。(出エジプト記31:14-15)こうして、イスラエル人にとって
は、偶像礼拝の禁止、作像の禁止、神のみ名を冒涜することの禁止
に加えて、安息日の労働を禁止することにより、第四戒は、律法の
第二用法として、神の尊厳を守ることに寄与してきたのです。

 神から、創造の恵みに止まらず、イエス・キリストによる罪の贖
いの恵みをいただいたクリスチャンは、イスラエル人以上の厳かな
思いをもって主の安息日を守らねばなりません。しかし、クリスチャ
ンがこの戒めを守るときは、単に外面的な禁令を守るという守り方
で満足してはなりません。クリスチャンは、この日をどのように守っ
たらよいでしょうか。(中略)

 クリスチャンは、第四戒を、「労働をしてはいけない日」として
受け取るだけでは全く不十分です。そして、第四戒は、せっかく休
みを与えられながら、神の恵みに気づかない私たちの罪をも暴露し
ますが、さらにそこをも超えて、クリスチャンに休みの日をとって、
まことの礼拝を守るべきことを指し示しています。主の日に礼拝に
出席し、み言葉と聖礼典に与り、創造主にして、贖い主なる神の愛
に生かされた人として歩みましょう。

 さて、日本のクリスチャンにとって、日本がキリスト教国でもな
いのに、明治維新後週七日制が採用され、日曜日が休日と定められ
たことは本当に幸せなことでした。もしも、従来の日本の慣習に従っ
て、十日に一度、あるいは月に二回の、ひょっとしたら年二回の休
日しか、制度として与えられていなかったとしたら、クリスチャン
は七日に一度の休みをとることも侭ならず、主日礼拝を守ることに
想像を絶するような困難を伴ったに違いありません。日本のクリス
チャンは、七日に一度の休みを自らの努力によってではなく受け取っ
たわけですから、本当はこの休みの日を感謝をもって受け止め、礼
拝にいそしむべきなのです。ところが、せっかくの休みの日にわざ
わざ仕事を入れてしまう現実があります。もちろん、いろいろ事情
はあるのでしょうが、クリスチャン個人として、教会として、礼拝
を守ることは永遠の問題に係わる大切なことですから、休みをとる
こと、礼拝を守ることに励まねばなりません。

 宗教改革は、実は主の日再発見の運動でした。これは今の日本で
は到底想像がつかないことですが、中世カトリック教会は、主の日
以外にたくさんの聖日、祭日を取り入れていました。全部守ること
は到底不可能、どれが大切かの区別さえつかなくなっていたのです。
それに対し、宗教改革は、神が第四戒にて与えたもうた休日、日曜
日にのみ集中し、そしてその日に礼拝を守ることに集中しました。
主日以外は、クリスマスさえ礼拝を守らなかったと伝えられていま
す。そして、プロテスタント信者は、もう一方では、平日は労働に
集中したのです。カトリック教会も、現在では、典礼運動というか
たちで、主の日、日曜日の意義の再発見につとめています。

 私たちは、神が第四戒を通して与えてくださった「一週間」とい
う生活の秩序を感謝をもって受け止め、主の日に心からなる礼拝を
献げ、そして他の日は勤めいそしむ人として、それぞれの与えられ
た使命を全うしてまいりましょう。

(2008/05/11 三宅宣幸牧師)

※このページに関するご意見・ご質問は三宅牧師までお寄せ下さい。miyake@aksnet.ne.jp


(C)2001-2008 MIYAKE, Nobuyuki & Motosumiyoshi Church All rights reserved.