2007年05月27日

『聖霊が降る

主たる聖書テキスト: 使徒言行録 2章1〜11節


 5月6日、ハイデルベルク信仰問答講解説教の第一回目において、
教会は教会のメンバーに対して、「生きるにも、死ぬにも唯一の慰
めが、主イエス・キリストを伝えることである」ことを伝える恵み
の取り次ぎ手であることを学びました。しかし、どうして教会がそ
のような恵みの取り次ぎの場となりうるのでしょうか。それは、聖
霊の力によるのです。でも、いつから教会に聖霊が働くようになっ
たのか、そして、どうしたら教会に聖霊が働きつづけるのか、み言
葉を学んで参りましょう。

 キリスト教の信仰は「三位一体の神」を信ずる信仰と言われます
が、その第三位格であられる聖霊は、既に天地創造の時より働いて
おられました。そして、神の霊と呼ばれた聖霊は、旧約の時代、預
言者たちを突き動かしました。たとえば、サウル王は、王として召
命を受けたとき、神の霊が激しく下って預言を始めたので、人々か
ら「サウルもまた預言者の仲間か」と言われた、と伝えられていま
す。(サムエル記上10:11-12)のちに神の霊はサウルから離れ、サウ
ルは悪霊に悩まされることとなるのですが、イスラエルにとって、
神の霊が離れている時は、人々の心も神から離れている時、悪霊の
働く時でした。そして、神の霊が最も離れた時、バビロン捕囚が起
こったのです。この神の霊への飢え渇き状態は、バビロン捕囚後も
続き、いなごの大群が襲い、農業生産がうまくいかないとき、人々
は神の霊への飢え渇きを覚えました。預言者ヨエルは、この苦難の
中に神様の審きを見ましたが、審きは審きで終わるのではなく、そ
の苦難の中で悔い改める者には、神様は終わりの時の救いを用意し
ていて下さる、神の霊を降して下さることを預言したのです。(ヨエ
ル書3:1)そして、その預言が、イエス・キリストが、贖いの業を完
成されたその時に成就した、それがペンテコステでした。

 キリスト昇天の後、使徒たち、弟子たちは集まって祈っておりま
した。建物があったようです。そこには、一応、形としての教会は
あったのです。が、聖霊は受けておらず、形はあるけれど、中身の
ない教会だったのです。しかし、使徒たちは、中身のない教会でサ
ークル活動に終始していたのではなく、神の霊の降るのを、必死に
祈り求めていたのです。さて、そうしてイエス様が天に昇られてか
ら十日の日がたちました。五旬節の日です。当時のユダヤ教では
「七週のまつり」と呼ばれて、小麦の収穫を祝う日でした。十日間
祈りつづけた弟子たちがこの日も集まっていますと、突然、突然と
いうことは、そのまま神様のみ業の現れを意味するのですが、激し
い風が吹いてくるような音が天から聞こえ、炎のような舌が分かれ
分かれに現れて一人一人のうえに止まる、という出来事が起こりま
した。見ることも聞くこともできない神の霊が、使徒たちにも、周
りの人にも感知されました。イエス様のたとえ話にあるとおり、隠
れている神の業も、やがてすべての人に知れわたることとなるので
す。

 そして、今までは形だけの教会でした。この教会に聖霊が降るこ
とにより、中身のある教会となり、そのメンバーである使徒たちに
明らかな変化が起こったのです。一つには13節で、「あの人たちは、
新しいぶどう酒に酔っているのだ。」と人々から言われるような変
化です。これは使徒たちが異言を語るようになったことをいう、と
解釈する人もいます。しかし、これは、のちのペトロの説教にある
とおり、使徒たちが、聖霊を受けて変わったこと、力に満たされた
ことをいうのです。ヨエルの預言にあるとおり、若者が幻を見、老
人が夢を見るようになるのです。教会が聖霊に満たされるとき、不
可能が可能となるのです。

 そして、第二の賜物は具体的です。使徒たちは神の偉大な業を語
るようになりました。(11節)語るからには、わかったということで
す。恵みの業が得心をもってわかったのです。だから語れる。多言
語奇跡とも言われますが、たとえ、その言語が語れたとしても、語
り手がわかっていなければ、絶対に伝わらないのでして、使徒たち
が、自分でわかったから、言語・文化の違う人にも、伝わったので
す。

 この時以来、教会は神の霊、聖霊の働く宮となりました。しかし、
聖霊の力は人を通して働くのです。祈りのないところ、聖霊の働き
はありません。神の霊への飢え渇き、祈りがあるでしょうか。しか
し、それ以前に、聖霊を受けるためには、イエスを主と告白して洗
礼を受けることが、求められています。

(2007/05/27 三宅宣幸牧師)

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