2006年12月17日

『神が望んでおられる生活

主たる聖書テキスト: テサロニケの信徒への手紙一 5章16〜24節


 この世のあわただしい生活の中で、イエス様がこられる時に備え
た生活をするというのは、なかなか難しいことかもしれません。そ
れでは、教会生活を営んでいけば、それはそのまま神様に喜ばれる
生活となるのでは…、とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
が、必ずしもそうは言えないのです。『聖ベネディクト会の戒律』
という本を翻訳出版された古田暁先生は、この本の序文で次のよう
なことを言っておられます。「家庭であろうと、学校であろうと、
会社であろうと、集団生活には一つの秩序がなければなりません。
さらにお互いのコミュニケーションが必要です。それが不得手な人
も、得意な人もおり、楽しい場面があるなら、厳しい摩擦も起こり
ます。それは世界中のどこでも、いつの時代でも変わりません。こ
の戒律を読むと、当時の修道院内部でも、今日の日本社会のように、
いじめも、引きこもりも、えこひいきも、派閥も、悪だくみもあっ
たことがわかります。修道院長の選挙ともなると、修道士の一部が
結託して一種のクーデターさえもが起こっています。それでも、い
や、それだからこそ、集団の運営には、そのメンバーの間で何らか
の約束事が必要なのです。」修道院でもそうだとすると、私たちの
実態は、イエス様がこられる時に喜ばれる者となるよう励むことよ
りは、自己中心に生き、イエス様を悲しませることの方が多いので
はないでしょうか。

 ところが、イエス様は「神はそのひとり子をお与えになるほどに、
世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を
得るためである。」(ヨハネ3:16)と、イエス様を信じる者全員が救
われることを約束していてくださるのです。自分の力ではイエス様
に喜ばれる者となることができない私たちが、一人も残らず永遠の
命を受けるということがどうして可能なのでしょうか。それは、た
だ一つ、イエス様の方で私たちの罪を負ってくださり、しかもよみ
がえって下さって、それによって私たちに新しい命、罪を負いつつ
も、しかも乗り越えて新たに生きる力を与えてくださることによっ
て、はじめて可能となるのではないでしょうか。イエス様はこの世
に来てくださいました。しかし、ただ来てくださっただけではなく、
十字架にかかって死に、よみがえって復活の命を与えてくださった
のです。ですから、私たちは主イエスを信じてクリスチャンになっ
て、イエス様の贖いと復活のパワーによって、イエス様が来られる
時によしとされる生活をする力、新たに戒めを守る力が与えられる
のではないでしょうか。

 だからこそ、私たちがイエス様に喜ばれる生活をするためにはイ
エス様の力をいただくことが必要だからこそ、イエス様に召された
者の集まりとしての教会は、戒めを守り、秩序を保ち、安定した教
会を守ることが求められるのです。テサロニケの信徒への手紙一は、
教会が秩序を守ることの大切さを繰り返し述べ、それがイエス様か
らいただく祝福につながることを述べています。教会がイエス・キ
リストの恵みを受け、秩序を守り、そして、教会に連なる一人一人
が、イエス様に喜ばれる生活を営むための力を与えられるためには
どうしたらよいか、。テサロニケは、それを最後に四項目の戒めと
して述べています。

 第一は、12〜13節「あなたがたの間で労苦し、主に結ばれた者と
して導き戒めている人々」すなわち、牧師を始め、役員などとして
召されて、教会の務めに使えている人を尊敬することです。第二は
13節後半〜15節、互いに教会員同志の間で平和に過ごすこと。とい
っても平和を造り出すことが求められています。すなわち、怠けて
いる者たちを戒め、弱い者を助け、すべての人に対して忍耐強く接
し、悪をもって悪に報いず善を行うことです。以上は教会の秩序に
直接係わることです。しかし、形だけではなく…

 そして第三は、16〜18節、「いつも喜び、絶えず祈り、すべての
ことに感謝する」ことです。これを、信仰者個人の心がけとしてだ
けでなく、たとえば祈祷会を大切にするなど、教会として守らねば
なりません。最後に、霊を大切にする。教会として何にもまして大
切にしなければならないのは、礼拝を守り魂の救いを求めることで
す。教会は魂の救いをすべてに優先せねばなりません。

 私たちも、この四項目を心して受け止め、教会形成に励み、主が
こられる日を待ち望みたい、と思います。

(2006/12/17 三宅宣幸牧師)

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