2006年06月18日

『ペトロとヨハネの宣教

主たる聖書テキスト: 使徒言行録 4章13〜31節


 本日は、使徒書テキストとして、使徒言行録4:13-31が与えられま
した。そこには、主イエスの弟子であり、そして使徒となったペト
ロとヨハネとが、大胆に主イエス・キリストを証しする様が描かれ
ております。まさに、宣教という、彼らにとっての神の召しに応え
ているのですが、彼らも最初からそのような「本物のクリスチャン」
だったわけではありません。そこで、今日は、この二人、とりわけ
ヨハネのクリスチャンとしての歩みを振り返ってみたいのです。

 ヨハネは、もともとは、ペトロと同じく、ガリラヤ湖で漁をする
漁師でした。漁師時代の心境が、聖書に残されているわけではあり
ませんので、想像するしかないのですが、「一生を漁師で終わって
しまうのか。」と悶々としていたかもしれません。兄弟ヤコブと船
の中で網を繕っているとき、主イエスに出会いまして、主イエスの
方から呼ばれます。これも推測ですが、このとき彼はうれしかった
のではないでしょうか。父ゼベダイを雇い人たちと船に残して、す
ぐに主イエスの後についていったのです。こうして、漁師の職から
解き放たれて自由となったヨハネ、喜んで主イエスの御足の後に従
いました。主イエスの姿代わりの時も、同行させてもらいました。
(マルコ9章)

 しかし、彼の信仰はまだ「ただのクリスチャン」状態だったので
す。自分の利益になる限りで、イエス様を受け入れていたに過ぎな
かったのです。あるとき(マルコ10:35以下)、兄弟ヤコブと二人で
イエス様のところへまいりまして、「先生、お願いすることをかな
えていただきたいのですが」と申します。イエス様が「何をかなえ
てほしいのか。」と言われますと、彼らは「栄光をお受けになる時、
わたしどもの一人をあなたの右に、もう一人を左に座らせてくださ
い。」と言うのです。つまり彼らは、主イエスが政権を取られた時
の大臣の地位が欲しくて、主イエスに従っていたのです。それゆえ、
主イエスが捕縛されたとき、ペトロのようにこっそり様子を見に行
くこともなく、真っ先に逃げ出してしまった一人だったのです。つ
まり、彼らにとっての荒れ野に耐えられなかった。撤退、と逃げ出
してしまう組だったのです。しかし、主イエスはその逃げ出し組を
見捨てなかったのです。復活の姿で現れられ、しかも、聖霊を降下
させ、自分の力では「本物のクリスチャン」になれなかった弟子た
ちを、「本物のクリスチャン」にしてしまったのです。使徒言行録
2:14〜を見ると、あの裏切りをしてしまったペトロが、あんなに怖
がっていた神殿当局者のいる前で、大胆に「主イエスこそメシアで
ある。」と証言しています。また、ペトロとヨハネとは、3章の最初
で、40年間足が不自由であった男の足を自由にする、という奇跡を、
神の力によって行い、そして、そのことについて、ユダヤ教当局者
の追及を受けると、「あなたがたが十字架につけて殺し、神が死者
の中から復活させられたあのナザレの人、イエス・キリストこそ救
い主だ」と証言し、そして本日のテキストですけれども、「今後、
イエスの名によって宣教するな。」と脅迫されても、「神に従わない
であなたがたに従うことが神の前に正しいかどうか、考えてくださ
い。」と明確に拒否したのです。つまり、キリストを宣べ伝えるとい
う使命を与えられた以上、それを、いつでも、どこでも、誰にでも、
教会の中だけでなく、日曜日だけでなく、いつでも、どこでもでき
る、そういう「本物のクリスチャン」に変えられていったことが、
今日の聖書テキストからわかるのです。

 使徒たちには、シナイ契約はありませんでしたが、その代わり聖
霊の降下がありました。聖霊の降下があって、彼らの生活がどう変
わったのか、彼らにとっての十戒は何だったのか、最後に、それに
ついて見てみましょう。まず、第一に、彼らは、十戒の前半と同じ
ように、神を第一とする生活を始めました。彼らは外で行動するだ
けでなく、集まって神に祈りました。この祈りを通して神への忠誠
を示し、そして神から力を受けて、世へ出て行ったのです。

 第二に、32節以下に書かれているように、十戒の第四戒以降に記
されているような隣人愛を、自分たちの生活の中で、教会の中で実
践して見せた、祈るときだけでなく、日常生活の中でも、クリスチ
ャンらしい生活をして見せたのです。このことは、世の人々に大い
に証しとなった。

 こうして、24時間すべてを神の召しに生きる生活が、迫害、脅し、
脅迫、いやがらせ、つまり荒れ野の中でも、ますます使命に生きる
生活を育んだのです。

(2006/06/18 三宅宣幸牧師)

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