2006年05月21日

『聖霊の執り成し

主たる聖書テキスト: ローマの信徒への手紙 8章22〜27節


 いつの時代もそうですけれども、今の時代も救いを求めている多
くの人がいます。今の日本、総体として満足しているように見える
かもしれません。しかし、実際には救いを求めている人が多いので
はないでしょうか。普段は宗教とまったく係わりない生活をしてい
ながら、正月となると、あれだけたくさんの人が初詣に出かける…
皆、どこかに不安を抱えているからではないでしょうか。救いは切
に求められているのです。使徒たちの時代もそうでした。

 しかし、その救いの求めの大きさに対して、福音宣教を担う使徒
たちの力はあまりにも小さい。このギャップを埋めるものとして、
天から、神から聖霊が降されたのです。が、聖霊の働きは、ペンテ
コステの出来事に見られるごとく、使徒たちの言語能力を強めたに
止まりません。救いがすべての人々、被造物に及ぶように、「隠れ
た働き」をしてきたし、今もしているのです。その働きのうち二つ
を、本日与えられましたテキストより学んでまいりましょう。

 その第一は、本日の福音書テキスト、ヨハネによる福音書16章に
記されている「真理をことごとく悟らせる」という働きです。ヨハ
ネ福音書で言う真理とは、「主イエス・キリストの十字架の真理」
のことです。この主イエス・キリストの十字架の出来事は、神によ
る人類いや世界救済のための出来事でした。しかし、そのことは、
一緒にいた弟子たちにさえなかなか悟られず、弟子たちは、主イエ
スが捕らえられたとき、逃げ出しさえしてしまったのです。その弟
子たちは、復活の主に出会って、本当に神は、主イエス・キリスト
の十字架の出来事を通して、私たちに愛を示してくださった、とい
うことを悟りましたが、今の時代に生きる私たちはどうでしょうか。
弟子たちと違って、直接イエス様にお会いすることはできないので
す。また、復活の主に出会うことも、パウロで打ち止めでした。
(コリントT15章) 弟子たちでさえ、なかなか悟れなかった十字架
の真理を、そのような私たちが悟るのは至難の業です。聖書を与え
られ、クリスチャンとして生きることを赦されている者さえ、その
ような困難を抱えているのです。まして、キリストのことを聞いた
こともない、または一切関心のない人に、キリストの真理は、一体
どうやって伝わり、理解されるのでしょうか。しかし、聖霊は、こ
のような困難をいともたやすく乗り越えてしまうのです。

 第二に、本日の使徒書、ローマの信徒への手紙8章によれば、聖霊
は執り成しの働きをしてくださいます。執り成しの働きとは何か。
まず第一に、使徒パウロによって言われていることは、人間ばかり
でなく、被造物(自然界)も、救いを求めて、呻いているということ
です。自然界が救いを求めて呻くとは、どういうことでしょうか。
それは、自然界は、本来は、神に造られた物として良いものであっ
たはずなのですが、人間の犯した罪により、苦しめられ、呻くとこ
ろまで来てしまっているのです。人間の自然破壊により、汚れた川、
壊された自然を目の当たりにする時、私たちにも自然の呻きガ聞こ
えてくる気がいたします。ところが、自然界は、自ら声を発して、
救いを求める叫びを発することができません。どうしたらいいので
しょうか。聖霊が自然界の呻きを代弁して、つまり、執り成してく
ださるのです。つまり、自分自身でもどうしてよいかわからず、救
いを求める声すらあげられない、そういうところへ、神は聖霊の働
きを通して、救いに至る道筋をつけてくださるのです。これが聖霊
による執り成しです。自然界に対してさえそうなのですから、まし
て私たちにはどうでしょうか。私たちにも「どう祈るべきかを知ら
ない」時があります。救いを求める呻きさえ上げることができずに、
どこに救いを求めたらよいかわからずにいるとき、聖霊は一人一人
に働き、執り成し、救いの道筋をつけてくださるのです。

 最後に、教会に属する私たちの責務について、考えてまいりまし
ょう。使徒たちに与えられた使命を受け継ぐ者として、私たちにも、
主イエス・キリストの十字架の贖いによる救い、神の愛を伝える責
務が与えられています。しかしながら、私たちは少数派ですし、使
徒たちと比べ物にならないくらいハンディを負っています。一体ど
うやって福音宣教の使命を担うことができるでしょうか。が、聖霊
の助け、働きがあるのです。聖霊は私たちを強めるばかりではあり
ません。すでに執り成しをしていてくださるのです。

(2006/05/21 三宅宣幸牧師)


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