2006年03月12日

『悪の諸霊との戦い

主たる聖書テキスト: エフェソの信徒への手紙 6章10〜20節


 私たち人間が抱えている苦難には、肉体的、精神的な苦難に加え
て、霊的な苦難があります。肉体的、精神的な苦難に対しては、医
学、心理学が有効かもしれません。しかし、霊的な痛み−クリスチ
ャンの場合には、人を神から引き離そうとする試みですが−に対し
て、私たちはどのように対応したらよいのでしょうか。

 このような、人を、クリスチャンをキリストから引き離そうとす
る試みは、エフェソの教会をも襲いました。そこで、エフェソの信
徒への手紙は、その最後のところでその対処法を示しています。そ
れは一言で言えば、「(神の武具をもって)悪と戦え」なのです。霊
の問題については、戦わなくてはならないのです。なぜか。それは、
霊の問題に関しては、「いろいろな立場はあるだろうが、皆さん仲
良く」といった「民主主義」は通用しないのです。問題は、神に従
うか、否か、二者択一なのです。ゆえに、神に従おうとするなら、
悪と戦うしかないのです。

 それでは、この霊の戦いとはどのような戦いなのでしょうか。エ
フェソの信徒への手紙6:10-20から見てまいりましょう。まず第一に、
「神の武具」を身につけなさい、と言われるがごとく、この戦いは、
私たちにとって、自分の力では歯が立たない、ということです。な
ぜなら、「わたしたちの戦いは、血肉を相手にするものではなく、
支配と権威、暗闇の世界の支配者、天にいる悪の諸霊を相手にする
もの」だからです。お金を積んで教会の経済的基盤をしっかりした
ら、人を神から引き離そうとする悪の諸力に対抗できるでしょうか。
NOであります。学問を身につけたらどうでしょうか。やはりNOであ
ります。イエス様が悪霊を追い出された時のように、神の力によっ
てでなければ、戦えないのです。細かい話で恐縮ですが、この部分、
日本語訳聖書は、ギリシャ語本文のニュアンスをそのまま伝えてい
るかというと、難しいところです。日本語では、武具がただ並べら
れているように読めて、どれがもっとも大切なのかよくわかりませ
ん。本文を見ると、16節がひとつのヤマであることがよくわかりま
す。結局、神様の力をいただいて戦うために必要なのは、信仰に尽
きるのです。ゆえに、ここで言う真理、正義、平和も、私たちの真
理、正義、平和ではありません。信仰をもって神と結びつく時に、
神から与えられるものなのです。主イエス・キリストは、十字架上
で悪と戦い、神の真理、正義、平和を貫き通されました。私たちが
信仰をもってその十字架上のイエス様と一つになるとき、実は私た
ちもそのイエス様の戦いに参与させていただいていることを知るの
です。

 第二に、この戦いは受身の戦いであります。16節後半「それによ
って、悪い者の放つ火の矢をことごとく消すことができるのです。」
キリストにある者が戦いを好んでいるのではありません。悪い者が
火を放ってくるのです。しかし、火を放って置いてはいけません。
霊の世界は二者択一です。これを少しでも受け入れるということは、
救いから離れることを意味します。消さねばなりません。とはいえ、
消せばいいのであって、それ以上のことではありません。霊の世界
に先制攻撃はありません。なぜなら、神は、キリストのゆえに、こ
の世にすでに勝っていてくださるからです。

 そして、第三に、この戦いは祈りによって支えられる、というこ
とを私たちは覚えねばなりません。17節以下の後半の部分も、中心
となるところは、「祈りつつ、神の言葉を受け取りなさい。」です。
さて、この霊の戦いは、信仰者一人一人にとっては、試練という形
で臨みます。そして、霊の戦いに巻き込まれた時、私たちは、自分
が何によって生きているのか、何をもっとも大切にしているか、が
問われるのです。本音が問われるのです。皆様も、本当は、ご自分
のことを最もよくご存知なのではないでしょうか。あなたが最も大
切にしていることは何ですか。もしも、自分の欲望を満たすことが、
第一だったとしたら‥私たちはすでに悪の力によって絡めとられて
しまっています。もちろん、私たちに欲望があることは事実です。
しかし、それにもかかわらず、この弱いわたしであったとしても、
いやだからこそ、み言葉に飢えているかどうか、そこが問われてい
ます。祈りをもって、信仰を育まれ、み言葉をいただくとき、私た
ちは右にも左にもそれることなく、歩むことができるのではないで
しょうか。祈っていますか? み言葉に飢えていますか?他ならぬ
「私」が問われています。

(2006/03/12 三宅宣幸牧師)

※このページに関するご意見・ご質問は三宅牧師までお寄せ下さい。miyake@aksnet.ne.jp


(C)2001-2006 MIYAKE, Nobuyuki & Motosumiyoshi Church All rights reserved.