2006年02月05日

『真理を受け入れる

主たる聖書テキスト: ペトロの手紙一 1章22〜25節


 クリスチャンは、キリストの贖いによって救われて、キリストと
ともに、自由と喜びの人生を歩み始めた、しかし、今度は、罪の奴
隷状態の時と違って、自立したクリスチャンとして、自分で困難に
取り組まなければならない、そういう点では、捕囚から解放された
民、出エジプトの民に似ています。困難にぶち当たった時、私たち
も確かに不平不満を言いがちです。しかし、聖書は、神の御心を顧
みない、愚かな行いであることを示しています。しかし、それでは
どうしたらいいのか、その具体的な指針が本日の使徒書、ペトロの
手紙一1:22-25も含めて、13節以下に記されています。

 そこには三つの指針が示されています。聖書の記述の順序とは異
なりますが、第一の最も大切なことは、17節にあります「神を畏れ
る」ということです。クリスチャンの生活は神を忘れてしまった時
に、根無し草になってしまいます。根無し草にならないためにどう
したらよいか。私たちは生き物ですから、食事と同じで、定期的に
神を拝むことが必要なのです。「神を信じているつもり」とか「洗
礼さえ受けてしまえば」というわけにはいかないのです。それで、
旧約の民は安息日を守ることに集中しました。週の最後の日、一切
の仕事を休んで礼拝に集中するのです。もちろん、イエス様の時代
のファリサイ派のように、形式だけ守ることになってはいけません
が、週に一度、神を拝み、神と出会うことはどうしても必要なので
す。私たちは、週の最初の日を主の日として、主日礼拝を守ってい
ますが、この主日礼拝にどのような姿勢で臨んでいるでしょうか。
この日はクリスチャンにとって、食事のごとく「欠かすことのでき
ない日」であることをもう一度覚えるべきなのではないでしょうか。

 そして、第二に、その神との交わりに基づいて、「聖なる生活」
を送るように、と奨められています。(14-16節)聖なる生活とは何で
しょうか。「聖」ということばは、もともと「区別する」「分かつ」
という意味で、「聖なる生活」とは、この世の生活とは区別された、
分かたれた生活、という意味なのです。それは、場所を分かつとか、
献身をするということだけを意味するのではありません。具体的に
は、この世の欲望を何か我慢する、という事です。この世の欲望を
我慢するということは、何も禁欲主義なのではなく、そうしないと、
私たちの中に、神様が、イエス様が、すなわち聖霊が入る余地がな
くなってしまうのです。たとえば、何か目標を立てて勉強しよう、
と決心した人が、決意する前と全く同じ生活をしていたら、同じよ
うにテレビを見ていたら、その人の中に新しいものは全く入ってい
かないのではないでしょうか。それと同じく、クリスチャンにも、
キリストに入っていただくために、何かを我慢する生活が求められ
るのです。自分の欲望を満たすことを第一とする生活と、クリスチ
ャンの生活とは両立しないのです。

 そして第三は兄弟愛です。(22節)ここで兄弟愛と訳されているこ
とばの原語は「フィラデルフィア」でして、これは、教会内での信
徒の交わり、平等の人間関係、友人関係をさします。その教会の中
の人間関係において、憎しみ、対立を引き起こすようなことをした
り、そそのかしたりしてはなりません。そうではなく、キリストの
愛(アガペー)が実行されねばならないのです。私たちは、教会の交
わりの中で、対立したり、競い合ったりするのではなく、信仰が育
まれていくべきだからであります。

 クリスチャンとしての生活も、喜びばかりではなく、困難の中で
生活していかなければならない時もあるかもしれません。困難に直
面した時、後ろを向いたり、不平を言ったりしそうになるかもしれ
ません。しかし実は、そういう時こそ、しっかりとキリストにつな
がり、キリストに確かに入っていただき、キリストの愛を実践する
ことが求められるのです。なぜでしょうか。その理由の第一は、私
たち一人一人が、キリストの尊い犠牲の血によって贖われたのだか
ら。そして第二に、そのキリストの贖いの愛は、天地創造の前より
予定されていた、ということです。つまり、私たち一人一人が神に
召され、使命が与えられているということなのです。もし、今、ク
リスチャンとして「つらい」と思っているなら、それは、神があな
たに与えてくださった使命がより大きな、困難を伴うものであるこ
とを意味します。そのキリストの愛に応えて生きましょう。

(2006/02/05 三宅宣幸牧師)


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